往復機関においてピストンがシリンダー内を往復運動するとき,ピストンが最上位と最下位になる点。最上位の点を上死点,最下位の点を下死点という。死点においては,ピストンと連節棒とが一直線になり,ピストンに大きな力を加えてもクランクを回転するモーメントを生じない。逆に見れば,ピストンが死点から運動を開始する場合,クランクがどちらの方向に回転するかはわからない。このことから思案点という名称も使われるが,死点と思案点とは見方を変えたものであって,機構上は同一である。リンク機構においても死点ということばが使われるが,やはり原動節が少し動いても従動節がほとんど動かない点のことである。死点の存在はその機構の使用に不便をもたらすので,はずみ車を利用したり,同じ機構を,死点の位置が互いにずれるように二つ以上並べて配置するなどのくふうが行われる。
執筆者:三浦 宏文
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