日本大百科全書(ニッポニカ) 「比内」の意味・わかりやすい解説
比内
ひない
秋田県北部、北秋田郡にあった旧町名(比内町(まち))。現在は大館(おおだて)市比内町で、市の南部を占める。米代(よねしろ)川の中流域、大館盆地の南半分を占める。旧比内町は、1955年(昭和30)扇田(おうぎた)町と東館(ひがしだて)、西館、大葛(おおくぞ)の3村が合併して成立。2005年(平成17)田代町(たしろまち)とともに大館市に編入された。大館盆地一帯の歴史的呼称である比内(アイヌ語で平野の中を流れる川の意)を名称とした。JR花輪線、国道285号が通じる。中心地区の扇田は江戸時代には米代川舟運の船着き場であり、物資の集散地として栄えた。地下資源が豊富で、金、銀、銅、亜鉛を産し、とくに大葛金山は江戸時代には全国でも有数の金山として知られた。農業は米作中心であるが、近年酪農、葉タバコの栽培が増加している。特産品としては、ホウキグサの実であるトンブリと、国の天然記念物に指定されているヒナイドリ(比内鶏)がある。
[宮崎禮次郎]
『『比内町誌』(1964・比内町)』▽『『比内町史』(1987・比内町)』