比推力(読み)ヒスイリョク(その他表記)specific impulse

デジタル大辞泉 「比推力」の意味・読み・例文・類語

ひ‐すいりょく【比推力】

ロケット燃料などの推進剤性能を表す指標単位重量の推進剤を使って得られる推力力積、すなわち1キログラムの推進剤を使い、1キログラム重の推力を出し続ける秒数で表される。固体ロケットの場合は300秒、液体ロケットの場合は500秒程度。

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改訂新版 世界大百科事典 「比推力」の意味・わかりやすい解説

比推力 (ひすいりょく)
specific impulse

ロケット推進などの性能指標の一つ。推力を単位時間に消費する推進材の重量(質量×地表における重力加速度)で除した量。推力をN,質量をkg,重力加速度を9.81m/s2の単位で表すので,比推力はsの単位をもつ。これは1kgの推薬で9.8Nの推力を持続しうる秒時とも解釈される。化学ロケットではロケットエンジン設計や使用環境による若干差異はあるものの,推薬の種類を定めればほぼ定数とみなせる。
ロケット
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百科事典マイペディア 「比推力」の意味・わかりやすい解説

比推力【ひすいりょく】

ロケット推進材などの性能を示す数値。単位時間に消費する推進材の重量で推力を割ったもので,単位は秒。たとえば比推力200秒なら,この推進材1kgfを1秒で燃やしたとき得られる推力が200kgfであることを表す。
→関連項目イオンロケット光子ロケットフリーラジカル推進剤ロケット(工学)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「比推力」の意味・わかりやすい解説

比推力
ひすいりょく
specific impulse

ロケット推進剤の性能を示す目安となる値。推進剤 1kgが1秒間に消費されるときに発生する推力で,単位は秒で表わす。推進剤消費量 specific propellant consumptionの逆数にあたる。比推力の値が大きいほど,推進剤の性能がよいことになる。アポロ宇宙船を打上げたサターンV型ロケットの第1段の液体酸素ケロシンで 270秒ぐらい,同第2,3段の液体酸素・液体水素で 350秒ぐらい,また液体フッ素・液体水素では 365秒ぐらいといわれる。

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世界大百科事典(旧版)内の比推力の言及

【火薬】より

…発火,爆発の起こる押しつけ力で摩擦感度を表す。 発射薬やロケット推進薬の性能としては,比推力,燃焼速度,燃焼速度と圧力との関係などが重要である。そのほか安全性能がこれに加わる。…

※「比推力」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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