光子ロケット(読み)こうしロケット(英語表記)photon rocket

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「光子ロケット」の意味・わかりやすい解説

光子ロケット
こうしロケット
photon rocket

光子噴出反動を利用して推進させようというロケット。ロケットが到達できる速度は噴出させるガスの速度に比例する。光の速度は秒速 30万 kmであるから,光子の噴出の反動で飛ぶロケットは最も速くなりうるわけで,これ以上速いロケットは考えられない。このようなロケットは,ドイツの E.ゼンガーが 1953年頃に提案したもので,その構想尾端に巨大な反射鏡を取付け,その焦点にあたる部分で特殊な核反応を行わせ,非常に濃密な光のビームをつくり,その反動で推進させるというものだった。それには完全な反射率をもった反射鏡や反応にあずかった物質のほとんど全質量が光子に転化するような核反応が必要であるが,いまのところは実現の見込みはない。しかし理論的には,太陽系を越えて,他の恒星にまで旅ができるという夢のロケットである。

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