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水中考古学 すいちゅうこうこがく

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

水中考古学
すいちゅうこうこがく

水中に存在する遺跡や遺物を研究の対象とする考古学。 19世紀に既にスイス湖上住居,マヤ時代の犠牲の泉等が調査され,20世紀に入り,音響探査機・アクアラングの発明,エアリフトの導入などにより水底探査が技術的に可能となって,地中海の多数の沈没船の調査が開始され,当初の宝探しから徐々に学問として確立していった。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

水中考古学

海底や湖沼など水の中を調査領域とする考古学。交易船やその積み荷などが対象となり、当時の社会や流通ルートなどを知る手がかりとなる。日本では北海道江差沖に沈んだ幕末の開陽丸の調査などが知られ、長崎・鷹島沖でも調査が続けられてきた。漁師の網に偶然かかった遺物などを手がかりにすることも多かったが、潜水機器の向上や全地球測位システム(GPS)の活用、海上の船からの音波探査など新たな技術も活用されるようになってきた。

(2011-10-24 朝日新聞 夕刊 1社会)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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デジタル大辞泉の解説

すいちゅう‐こうこがく〔‐カウコガク〕【水中考古学】

海底や湖底などに水没している遺跡・遺物を研究対象とする考古学の一分野。

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百科事典マイペディアの解説

水中考古学【すいちゅうこうこがく】

水底の遺跡や沈没船などを対象とする考古学。潜水技術と排水機器の進歩,1950年代以降のスキューバの採用により,ミュケナイ文明の遺物発見をはじめ,バイキング船,函館近海の開陽丸,韓国新安沖の沈没船引上げなど成果をあげている。

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世界大百科事典 第2版の解説

すいちゅうこうこがく【水中考古学 underwater archaeology】

地盤の沈下や水位の上昇によって海,湖,池沼,河川などの水底に没した遺跡や,沈没船などを対象とする考古学の一分野。海中で作業するものを海中考古学と呼んで特に区別することもある。潜水技術や排水機器の進歩によって科学的な方法による調査が可能となり,ようやく近年,考古学の一分野として認知されるようになった。水中での作業という制約を克服すれば,地上の発掘では得られない貴重な資料を入手することも可能である。たとえば難破船の場合,交易品や生活用具などが一時に大量に埋没しており,これを調査することによって当時の船舶技術,交易ルートから日常雑器にいたる多様な事物が判明する。

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大辞林 第三版の解説

すいちゅうこうこがく【水中考古学】

地盤沈下や水位上昇によって水底となった遺跡や、沈没船や水底の供献・投棄物など水中の考古資料に対して、潜水機器や探査機を用いて調査する考古学。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

水中考古学
すいちゅうこうこがく

水没している遺跡・遺物を対象とする考古学。ヨーロッパアメリカの一部の考古学者のなかには「地中海考古学」とか「沈船考古学」とかの用語を慣用し、その対象を限定する学者もいる。水中考古学は考古学のフィールドを水底にまで拡大したものであって、水没しているすべての遺物・遺跡を対象としている点、陸地上の考古学と異なるものではない。ただ、水を克服しなければならないため、陸上とは異なる科学技術を必要とするという意味においてのみ、従来の考古学と異なる研究領域である。
 ヨーロッパの場合、水中考古学の発展の端緒となったのは、19世紀中ごろ、スイス、チューリヒのフェルディナンド・ケラーFerdinand Kellerによるファヒイコン湖南岸ローベンハウゼンの湖上住居跡の確認である。以来、スイスのボーデン(コンスタンス)湖から数万本の杭(くい)が検出され、古代水辺生活の具体的な復原が可能となり、ヌーシャテル湖の下層遺跡がコルテヨ文化(前2250)の標式となった。また、ギリシア南部のアンティキテラ、イタリア北部のアルベンガ、トルコ西部のヤシ・アダなどの沈船の調査などにより、陸上では得られない貴重な情報が得られるようになった。1960年代には水中考古学会が結成され、その年報も発刊されるようになっている。技術的にも、アメリカのジョージ・バスGeorge Fletcher Bass(1932― )による1960年のトルコ南部、ゲリドニアの後期青銅器時代の沈船、1958年から7年間にわたるヤシ・アダのビザンティン帝国時代の沈船の調査が諸科学を援用し、陸上と同じ考古学的方法を組織的に実践し、成功するに至っている。
 日本の場合、すでに、18世紀に木内石亭(きうちせきてい)の『雲根志』や藤貞幹(とうていかん)の『集古図』などによって、琵琶(びわ)湖や瀬戸内海の水中から古代遺物の発見されていることが紹介されている。しかし、水中遺跡の存在が広く知られるようになったのは、明治末年、琵琶湖の葛籠尾崎(つづらおさき)の湖底から多数の土器が引き上げられ、学会に紹介されてからである。現在、網走(あばしり)湖、諏訪(すわ)湖、野尻(のじり)湖、浜名湖、琵琶湖、瀬戸内海、中海(なかうみ)(山陰)、五島列島海域などに、住居や日常生活の諸器具、信仰・交易・水軍関係などの諸遺物・遺跡が水没していると考えられるが、これまで、琵琶湖、浜名湖、網走湖などのわずかな調査例にとどまり、目だった調査業績はみられなかった。
 ただし、湖底遺跡の存在が早くから知られていた琵琶湖では、1959年(昭和34)に、京都新聞創刊80周年記念事業として『琵琶湖総合科学調査』が実施され、葛籠尾崎湖底遺跡に対して、地質学・物理学・生物学・考古学などの自然・人文科学の各分野の研究者が参加し、潜水探査・音響探査・ボーリング調査・水中カメラによる湖底の撮影など、当時の最先端の技術を駆使した水中調査が実施された。また、1970年代以降の海洋開発時代に対処するための時代的要請もあって、1980年に文化庁が水中調査の技術開発と研究を目的にした粟津(あわづ)湖底遺跡の調査を実施するなど、湖底遺跡の調査が実験的に実践されてきた。
 さらに1980年代には、近畿の水瓶(みずがめ)である琵琶湖の水資源を確保するための琵琶湖総合開発事業が最盛期を迎えたのに伴い、考古学の専門家が直接潜水し、エアーリフトを用いた発掘や網枠などを用いた測量、また写真撮影を行うなど、湖底遺跡の発掘調査も本格化するようになった。また鋼矢板(こうやいた)を打ち込み、調査区の内部を排水して陸地上と変わらない発掘調査を実施することで、水中という障害を克服したことは画期的であった。こうした調査を通じ、国内最大級の淡水産貝塚である粟津湖底遺跡の調査では、どんぐり、橡(とち)、ヒョウタン、クリなどの豊富な植物遺体が検出され、唐橋遺跡では、壬申(じんしん)の乱(672)のころの「勢多(せた)橋」と考えられる特異な構造をもつ橋脚遺構が発見されるなど、水のもつ有機質に対する保存能力により、水底遺跡には陸地上では得がたい数多くの情報が内蔵されていることを明らかにしてきた。[田中勝弘]
『ジョージ・F・バス著、水口志計夫訳『水中考古学』(1974・学生社) ▽B・J・ウィルクス著、本荘隆訳『水中考古学概説』(1978・学生社) ▽荒木伸介著『水中考古学』(1985・ニュー・サイエンス社) ▽ピーター・スロックモートン著、水口志計夫訳『水中考古学の冒険――エーゲ海にアンフォラを引上げて』(1988・筑摩書房) ▽ロバート・F・バージェス著、月村澄枝訳『海底の1万2000年――水中考古学物語』(1991・心交社) ▽『琵琶湖と水中考古学――湖底からのメッセージ』(2001・大津市歴史博物館) ▽井上たかひこ著『水中考古学への招待――海底からのメッセージ』改訂版(2002・成山堂書店) ▽小江慶雄著『水中考古学入門』(NHKブックス) ▽小江慶雄著『琵琶湖水底の謎』(講談社現代新書)』

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世界大百科事典内の水中考古学の言及

【考古学】より

…このほか,特定の課題や生活分野を取り扱う部門として,環境と人間のかかわり合いを研究する環境考古学,産業革命期を中心とした時代の産業技術を研究する産業考古学,キリスト教関係の建物や遺物を研究するキリスト教考古学,聖書の記述と遺跡・遺物の対比研究を行う聖書考古学,仏教考古学,美術考古学などが成立している。また,特定の方法・技術を駆使して研究を推進する部門として,航空写真の判読を行う航空考古学,潜水して水底の遺跡を調査する水中考古学,過去の技術を実験的に復原して仮説を検証したり,仮説構成のためのデータを得ようとする実験考古学などが成立している。
【資料の収集】
 昔の考古学者は偶然の発見物に頼ることが多かったが,現在は研究者自身が綿密な踏査を行い,地表の不自然な凹凸や,散らばっている遺物を手がかりにして遺跡の分布を調べ,発掘を行う。…

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