改訂新版 世界大百科事典 「氷上川継」の意味・わかりやすい解説
氷上川継 (ひかみのかわつぐ)
奈良末・平安初期の賜姓皇族。生没年不詳。氷上塩焼(しおやき)の子で,母は聖武天皇の娘不破内親王。779年(宝亀10)無位から従五位下,782年(延暦1)因幡守となる。同年彼の資人(しじん)の大和乙人が兵仗を帯びて宮中に許可なく入って捕らえられ,〈川継が衆を聚めて北門より朝廷を攻めようとし,与党の宇治王を期日に赴かせようと乙人を遣わした〉と自白した。川継は逃走したが大和国葛上郡で捕らえられ,光仁天皇の諒闇(りようあん)のため死罪を免じられて伊豆国三島に遠流された。妻藤原法壱も従い,母不破内親王と川継の姉妹は淡路国に移配された。また法壱の父藤原浜成は参議,侍従の職を解かれ,山上船主は隠岐介,三方王は日向介に左遷,大伴家持,坂上苅田麻呂,伊勢老人,大原美気,藤原継彦など40人の知友,姻戚もあるいは現任を解かれ,あるいは京外に移された。805年罪を免ぜられ,806年(大同1)従五位下に復し,809年典薬頭,812年(弘仁3)伊豆守となる。
執筆者:西山 良平
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報