日本大百科全書(ニッポニカ) 「池上太郎左衛門」の意味・わかりやすい解説
池上太郎左衛門
いけがみたろうざえもん
(1718―1798)
江戸中期の豪農。武蔵(むさし)国橘樹(たちばな)郡大師河原(神奈川県川崎市)の名主。名は幸豊。1762年(宝暦12)多摩川河口に私財を投じて池上新田を開いたのをはじめ、各地を開墾、その功により1768年(明和5)苗字(みょうじ)帯刀を許された。明和(めいわ)年間(1764~1772)には製糖技術を完成させ、関東各地にその技術を普及させ、また甘蔗(かんしょ)の栽培を奨励した。そのほか、製塩、海苔(のり)、製硝、搾油(さくゆ)、養魚、果樹栽培など多角的な経営を試みるなど、殖産興業に大きな貢献をした。文人とも交わり、多くの記録随筆を残した。
[福島要一]