中国中部、湖北(こほく)省中部南寄りにある荊州(けいしゅう)市の市轄区。長江(ちょうこう)(揚子江(ようすこう))中流の北岸に位置する。人口44万2625(2013)。もとは江陵(こうりょう)県に属する鎮(地方商業中心の町)であったが、1949年に市となり、1994年荊沙市(1996年荊州市と市名変更)の成立に伴いその一区となった。水陸の交通が便利で、長江の重要な河港の一つであり、江漢(こうかん)平原(湖広平野北部)屈指の物資集散地である。中華人民共和国成立後、紡織、機械、電子、化学、食品加工などの工業が発展している。史跡として楚(そ)の霊王(在位前540~前529)の行宮(あんぐう)・章華台(しょうかだい)の跡といわれる章華寺や万寿宝塔などがある。
[河野通博・編集部 2017年8月21日]
中国,湖北省の中部南寄り,長江(揚子江)の北岸の商工業都市。江陵の外港として古くより発達した。古名を沙頭市と呼び,唐・宋ごろから沙市として広く知られるようになった。長江の航運のほか,便河運河により漢口に達し,北は水路沿いに漢水と連絡でき,南は虎渡河経由で洞庭湖に通じ,江漢平原中部の物資集散地として重要な地位を占め,小漢口とも呼ばれる。太平天国の乱で湖北東部が戦場となると,四川からの船はここで止まったためにぎわった。1896年(光緒22),下関条約により開港され,日本が租界地を設けた。解放後,紡績,冶金,機械,化学,食品加工等の工業が発展した。対岸に長江の洪水を調節する荆江分洪区が設けられた。
執筆者:林 和生
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