江陵(読み)コウリョウ(その他表記)Jiāng líng

デジタル大辞泉 「江陵」の意味・読み・例文・類語

こうりょう〔カウリヨウ〕【江陵】

大韓民国東部日本海に面する都市新羅しらぎ以降の遺跡が多い。カンヌン
中国湖北省中南部の都市。古くから軍事交通要衝として発展した。チアンリン。

カンヌン【江陵】

こうりょう(江陵)

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精選版 日本国語大辞典 「江陵」の意味・読み・例文・類語

こうりょうカウリョウ【江陵】

  1. [ 一 ] 韓国、江原道の日本海岸にある都市。古代は濊(わい)族の居住地で、漢代には臨屯郡に属し、新羅(しらぎ)の太宗武烈王の子孫が居住した。原京。河西府。溟州。慶興。カンヌン。
  2. [ 二 ] 中国湖北省中南部の揚子江北岸に臨む都市。古くから交通、軍事上の要衝で、秦・漢代に県、唐代に府が置かれた。張江陵

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改訂新版 世界大百科事典 「江陵」の意味・わかりやすい解説

江陵 (こうりょう)
Jiāng líng

中国,湖北省南部の県。武漢の西およそ200kmの長江(揚子江)の北岸にあり,北は河南,陝西へ,西は四川に通ずる交通の要地を占める。春秋時代,楚の文王が定めた国都の郢(えい)はその北郊にあり,春秋戦国を通して臨淄(りんし),邯鄲,大梁や咸陽などと並ぶ大都市として繁栄を誇った。秦・漢には江陵県がおかれて南郡の治所となり,唐・宋は江陵府,明・清は荆州府であった。その間,南朝梁の元帝は一時ここに都をおき,また五代のときには十国の一つ荆南の高氏もここを都とした。しかし1896年(光緒22)に南8kmの沙市が通商港として開かれてからは,以前ほどの繁栄はみられなくなった。また江陵には楚都郢の故城である紀南城の遺跡をはじめ古墓も付近に多数存在し,今日までにいくつかの考古学上注目すべき発掘成果をあげている。その一つは1965年の望山1号,2号および沙塚1号の戦国楚墓の発掘である。この3墓からは700点以上の出土品があり,その中には越王句践の剣をはじめ彩絵木彫のついたて,木彫の漆瑟,金銀錯の銅器,絹織物,刺繡など当時のすぐれた工芸品が数多く含まれている。そのほか望山の両墓からは約30枚の竹簡が発見された。現在までのところ竹簡の遺物としては最古に属し,墨書された2000余字は楚の文字研究には欠かせない一等資料である。また73年以後には紀南城内の鳳凰山一帯で多数の漢墓が発掘され,8号,9号,10号の3墓からは総計434枚の簡牘(かんとく)が発見された。墓中から出土する簡牘はほとんど書籍かもしくは副葬品の品名と数量を記したいわゆる遣策(けんさく)のいずれかであるが,10号墓からは郷村の戸口や田土の数,徭役や徴税の記録と考えられる内容のものが含まれており,史料としてたいへん貴重である。また75年に発掘された鳳凰山168号墓は馬王堆についで完全な男性の死体が発見されたことで有名であるが,同墓からは漢代の旅券の書式をそっくりまねてつくられた冥土行きの珍しい旅券も発見されている。考古発掘にとくに関心が寄せられている地方の一つである。
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江陵 (こうりょう)
Kang(r)nǔng

韓国,江原道の東部,日本海(東海沿岸の都市。人口22万8232(2000)。東海岸地方では比較的平地に恵まれ,稲作中心の農業が営まれている。古代の部族国家濊(わい)の拠点となった古都。李朝時代の儒学者李栗谷の出身地で,そのゆかりの建物が多い。1975年に嶺東高速道路が開通,北へは雪岳山観光,南へは東海を中心とする工業地帯への関門として人口が急増し,商業,サービス業が盛んとなっている。鏡浦台は韓国有数の海水浴場である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「江陵」の意味・わかりやすい解説

江陵(中国)
こうりょう / チヤンリン

中国中部、湖北(こほく)省中南部にある荊州(けいしゅう)市の県。人口39万4400(2015)。春秋時代の楚(そ)の都で郢(えい)とよばれ、また紀山の南なので紀郢とも称された。秦(しん)代に江陵県を置き、南北朝の梁(りょう)代にも一時都となり、五代にも南平国の都であった。また唐代の江陵府治、宋(そう)代の江陵郡治で荊湖(けいこ)北路の治所でもあり、清(しん)の荊州府治にもなった歴史的都市である。長江(ちょうこう)(揚子江(ようすこう))中流部(荊江(けいこう)とよぶ)の北岸にあり、鉄道開通前は南北陸上交通の要衝であった。

 米、小麦、ワタ、ナタネ(アブラナ)、淡水魚の生産が多く、工芸品としては荊州緞子(どんす)、蒔絵(まきえ)の器、桶(おけ)の産地として知られる。内モンゴル自治区西部のオルドスと江西省吉安(きつあん)を結ぶ国内最大規模の石炭輸送用鉄道・蒙華(もうか)線の2020年開通に向け、県政府は物流産業の発展に力を入れている。

[河野通博・編集部 2017年8月21日]


江陵(大韓民国)
こうりょう / カンヌン

韓国(大韓民国)、江原道(こうげんどう/カンウォンド)の海岸沿い(日本海側)にある都市。面積1040.09平方キロメートル、人口22万7856(2000)。1955年、市に昇格。95年、溟州(めいしゅう)郡と統合。太白(たいはく/テペク)山脈東の嶺東(れいとう)地方の商業中心地として早くから発達した。南大川下流に比較的広い沖積平野が形成され、農耕に利用されている。近海では寒暖流が会合し、イカ、サンマ、スケトウダラ(メンタイ)などの漁業が活発である。鏡浦台(きょうほだい/キョンポデ)、海水浴場、儒者李珥(りじ)の生家である烏竹軒(うちくけん)、大関嶺スキー場などの観光地があり、とくに嶺東高速道路の開通以後は多くの観光客を集めている。

[森 聖雨]

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百科事典マイペディア 「江陵」の意味・わかりやすい解説

江陵【こうりょう】

韓国,江原道東部の都市。南大川流域の日本海に臨む小平野の中心で農産物の集散地。干しガキを特産。嶺東地方からソウルに出る交通の要地で,嶺東(ソウル〜江陵,1975年),東海(江陵〜東海,1979年)の両高速道路がある。五台山国立公園の入口にあたり,観光地,海水浴場としても発展。また当地の端午祭は伝統芸能として有名。22万1000人(2005)。

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世界大百科事典(旧版)内の江陵の言及

【五代十国】より

…五代十国の諸国,とりわけつねに複数政権が併存した江南の十国では,政権を維持するために,いずれも領内の農業開発,産業振興,あるいは他国との交易や南漢のように南海貿易に努めた。荆南の江陵には当時最大の茶の集積市場があって諸国の商人が遠方からも集まったし,南唐の海岸一帯は最大規模の産塩地であった。湖南,江西ではこのころ新たに絹生産が始まり,福建,広東の木綿栽培は楚に移入されて木綿製品が生産されるようになった。…

※「江陵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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