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泉蓋蘇文 せんがいそぶんCh'ǒn Kaesomun

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

泉蓋蘇文
せんがいそぶん
Ch'ǒn Kaesomun

[生]?
[没]宝蔵王24(665)
朝鮮,高句麗末期の将軍,宰相。一名,淵蓋蘇文。『日本書紀』には「伊梨柯須弥 (いりかすみ) 」と記されている。太祚の子。父の死後その職を継ぎ,15歳で東部 (西部ともいう) 大人大対盧 (中央政府の長) となり,栄留王 25 (642) 年長城を築造,侵入に対処した。この築城には過酷な手段がとられたため,諸大人は栄留王と密議して蘇文を除こうとしたが,これを知った彼は大人百余人と王を殺害して,新しく宝蔵王を立てた。政治,軍事の実権を握ったのちは,国内統一を推進するとともに積極的な外交政策をとり,唐から道教の道士を受入れる一方,百済と結んで新羅を攻略 (643) 。新羅から救援を求められた唐は,調停に乗出したが,唐の使者が幽閉されたため,宝蔵王4 (645) 年唐の太宗は 17万の兵力をもって侵入した。蘇文は 60日間の血戦の末これを撃退,その後5度も侵入を受けたがよく防ぎ,唐はその目的を果せなかった。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

泉蓋蘇文 せん-がいそぶん

?-665/666 高句麗(こうくり)(朝鮮)の政治家。
642年栄留王を殺し宝蔵王をたて政治,軍事の実権をにぎる。新羅(しらぎ)(朝鮮)と連合した唐(とう)(中国)軍のたびかさなる攻撃を撃退した。「日本書紀」皇極天皇元年(642)の条には伊梨柯須弥(いり-かすみ)とある。宝蔵王24/25年死去。姓は淵(えん)ともいう。

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世界大百科事典 第2版の解説

せんがいそぶん【泉蓋蘇文 Ch‘ŏn Kae‐so‐mun】

?‐665
朝鮮,高句麗末期の権力者。淵蓋蘇文とも書き,《日本書紀》皇極元年(642)条には大王を殺した伊梨柯須弥(いりかすみ)と見える。貴族の出身で,642年栄留王や大臣を謀殺し王の甥の蔵を即位させた(宝蔵王)。以後権力を集中して莫離支(ばくりし)の位にのぼった。対外的にも強硬な路線をとり,百済と結んで新羅を圧迫した。そこで,新羅は唐に救援を請うや,唐は高句麗に講和をすすめた。蘇文はこれを拒否したため,高句麗は唐の太宗の攻撃をうけた。

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世界大百科事典内の泉蓋蘇文の言及

【高句麗】より

…618年に,隋は国内の反乱などで滅亡し,唐が建国した。その後,朝鮮三国の対立はいっそう激化したので,高句麗では642年に泉蓋蘇文(せんがいそぶん)が栄留王たちを殺し,宝蔵王を擁立して臨戦体制を整えた。645年以後,高句麗は5度にわたる唐軍の遼東侵入をその都度撃退した。…

【大化改新】より


[原因]
 原因を条件と契機とに分ければ,7世紀半ばころには日本でもなんらかの国政改革が試みられるのが必然であった条件として,6世紀末から7世紀前半にかけての中国大陸に隋・唐という中央集権的大統一国家が出現し,周辺諸国,とくに朝鮮半島の国々を圧迫しはじめたという国際環境が挙げられる。まず高句麗は隋・唐の侵略によく抵抗していたが,641年に至って大臣の泉蓋蘇文(せんがいそぶん)が宝蔵王ら反対派を暗殺し,百済ではその翌年に義慈王(ぎじおう)が反対派の貴族らを追放して,それぞれ権力の集中をはからざるをえなかったし,新羅でも647年には当時の女王に対して毗曇(ひどん)ら貴族が反乱を起こしている。日本の朝廷は遣隋使,遣唐使や朝鮮諸国との交渉を通じて国際環境の激動を知っており,帰国した留学生らに教育された青年貴族の間では国政改革が日程に上っていたようである。…

【大対盧】より

…このことは高句麗末期に王権が確立しておらず,旧小国連合の貴族体制であったことを示している。高句麗末期の権力者泉蓋蘇文(せんがいそぶん)は,祖父や父のあとをうけて部長に就任すると,選挙権をもつ貴族たちに懇請し,就任後不適当なことがあれば解任されてもよいとの条件づきで大対盧に就任したという(《三国史記》)。高句麗の貴族体制と大対盧選出の事情を示すものである。…

【宝蔵王】より

…在位642‐668年。泉蓋蘇文(せんがいそぶん)が栄留王らを謀殺して,王の甥を即位させたのがこの王である。王は泉蓋蘇文の進言に従い道教を広めんとして,唐に道士を求め叔達ら8名の道士と《老子道徳経》を得た。…

※「泉蓋蘇文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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