共同通信ニュース用語解説 「法廷通訳人」の解説
法廷通訳人
裁判で外国人の被告や証人の通訳を務める。各地の裁判所が個別に書類選考や面接を実施。適性があると判断すれば、研修を経て「通訳人候補者名簿」に登録する。最高裁によると、2019年4月時点で61言語、延べ3586人が登録している。捜査段階の通訳と合わせて司法通訳とも呼ばれる。
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裁判で外国人の被告や証人の通訳を務める。各地の裁判所が個別に書類選考や面接を実施。適性があると判断すれば、研修を経て「通訳人候補者名簿」に登録する。最高裁によると、2019年4月時点で61言語、延べ3586人が登録している。捜査段階の通訳と合わせて司法通訳とも呼ばれる。
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刑事裁判で日本語を理解できない被告や証人などに対し、法廷でのやりとりを通訳する人。日本では裁判所法第74条により、裁判所で用いられる用語は日本語と定められており、外国人被告人などに犯罪内容などを告知して基本的人権を保障するために、刑事訴訟法第175条で「国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない」と規定している。
通訳人は各地の裁判所が公募する。書類選考や面接により採用された者は、刑事手続や法律用語、通訳にあたっての注意事項の説明などを受けた後、最高裁判所の通訳人候補者名簿に登載される。各裁判所はこの名簿のなかから事件ごとに法廷通訳人を選任する。裁判所の職員ではないため給与は支払われず、通訳を行った場合に通訳報酬や交通費等が支給される。2013年(平成25)4月1日時点で、全国で61言語の計3965人が通訳人候補者名簿に登載されている。2012年に全国の地方裁判所、簡易裁判所で判決を受けた被告人6万3684人のうち、通訳人がついた外国人被告者は2445人で、使用された外国語の種類は43言語におよぶ。なお、おもに弁護士が刑事弁護活動をする際に通訳を行う者を弁護通訳人、検察や警察が刑事事件を捜査する際に通訳を行う者を捜査通訳人といい、法廷通訳人とあわせて司法通訳人と総称する。
アメリカでは1978年に連邦裁判所通訳人法が制定され、報酬基準が定められているほか、複数の州で資格認定試験が実施されている。オーストラリアにも資格認定試験(4階級)がある。日本では、通訳人の語学力基準、資格、研修、報酬、身分保障、誤訳防止などを定めた法制度や規定がなく、人選などのすべてが裁判所の裁量に任されている。グローバル化の進展で今後、外国人が関与する刑事裁判の増加が予想されることから、日本弁護士連合会は、法廷通訳人の質を確保し、誤訳による冤罪(えんざい)の発生などを防止するため、資格・研修制度の導入などを求めている。また司法通訳人や司法関係者で設立した日本司法通訳士連合会も通訳人の認定試験導入を要求している。
[編集部]
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