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法曹一元論 ほうそういちげんろん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

法曹一元論
ほうそういちげんろん

裁判は,弁護士としての経験の豊かな,社会の実情に通じた者にして初めてなしえるものであるとの立場から,裁判官はすべからく弁護士から任用すべしとする主張。この制度はイギリスにおいて典型的にとられている。日本のように初めから裁判官として任用される制度であるキャリア・システムに対するもの。法曹一元論は日本においても大正時代から在野法曹によって唱えられてきたが,特に昭和 30年代中頃には (訴訟遅延対策と関連して) その主張は最高潮に達した。しかし 1962年に内閣に設けられた臨時司法制度調査会答申 (1964年8月) が,一つの望ましい制度であるが基盤となる諸条件はいまだに整備されていない,との結論を出したため,以来,議論は沈静した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

法曹一元論
ほうそういちげんろん

今日の司法制度が基本的には裁判官、検察官、弁護士により担われている以上、司法制度の適正かつ円滑な運営を図るためには、これら法曹三者が共同の使命を自覚しつつ、相互に理解と協力をしうる体制を確立する必要がある。これを保障する制度として、法曹三者の担い手である人につき人事面からできるだけ一元化を図ろうとするのが法曹一元論である。「法曹一元」はいくつかのレベルで考えることができる。法曹養成の面では、今日のわが国には司法修習制度があり、司法試験をパスした者に対し、裁判官、検察官、弁護士のいずれを志望するかにかかわりなく統一的な養成が行われている。法曹三者の人事面については、法制度上、検察官や弁護士も裁判官の任命資格を有する場合がある(裁判所法41条1項・42条1項・44条1項)。ただ、この制度は、以下に述べるように、最高裁判所を別とすれば、下級裁判所については、実際には機能していない。まず、法曹三者相互の人事交流については、裁判官と検察官の間の人事交流はみられるが、これらと在野法曹としての弁護士との間ではほとんど無いといってよい。また、法曹三者の給源についても、裁判官や検察官から弁護士になる道は開かれており、現にこの種の弁護士は多いが、逆に、弁護士から裁判官、検察官に任用される道は閉ざされている。これに対し、裁判官や検察官の悪(あ)しき官僚化を防ぐためには、現行制度を活用して、下級裁判所についても弁護士の経験をもつ者から裁判官を広く任用すべきである、という主張も強い。[名和鐵郎]

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