津南(読み)つなん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「津南」の意味・わかりやすい解説

津南(町)
つなん

新潟県南部、中魚沼郡(なかうおぬまぐん)の十日町盆地最奥にある町。1955年(昭和30)下船渡(しもふなと)、上郷(かみごう)、芦ヶ崎(あしがさき)、秋成(あきなり)、中深見(なかふかみ)、外丸(とまる)の6村が合併して町制施行。町名は津南郷とよばれていた郷名に由来する。JR飯山線(いいやません)と国道117号、353号、405号が通り、長岡市、十日町市などからバスも通じている。信濃川(しなのがわ)の支流志久見川(しくみかわ)、中津川、清津川(きよつがわ)の三大支流の侵食による侵食谷と高位段丘が町域を占め、その段丘崖(がい)落差を利用した水力発電が盛んで、東京電力の信濃川発電所をはじめ7発電所がある。「原(はら)」とよばれる広大な段丘面は第二次世界大戦後、正面原(しょうめんがはら)の国営開拓民村で開発が始まり、1973年(昭和48)ごろから国営苗場山麓(なえばさんろく)総合開発事業が実施された。芦ヶ崎段丘面には加工用トマト、ニラ、葉タバコなどの大機械化農場が開発され、近代化が進んだ。中西部の上郷宮野原地区には、乳牛を育成する県営妙法(みょうほう)育成牧場がある。また、津南駅裏にはマウンテンパーク津南スキー場もある。大谷地(おおやち)ダム周辺には大規模リゾート関連施設があり、苗場山登山、落人(おちゅうど)伝説秘境秋山郷を含めた奥信越一大観光計画が進捗(しんちょく)して、豪雪僻村(へきそん)も観光都市にかわりつつある。面積170.21平方キロメートル、人口8989(2020)。

[山崎久雄]

『『津南町史』全3巻(1981~1982・津南町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「津南」の意味・わかりやすい解説

津南[町] (つなん)

新潟県南部,中魚沼郡の町。人口1万0881(2010)。十日町盆地最南端にあり,北部を流れる信濃川沿いに日本有数の段丘地形が発達し,支流の中津川,志久見川が深い浸食谷をうがっている。中津川上流は長野県栄村の一部を加えて秋山郷と呼ばれ,落人伝説をもつ秘境として知られる。明治に入って正面ヶ原,津南原などの段丘面の開拓が進み,1973年から始まった国営苗場山麓総合農地開発事業も完成して,米作のほか,タバコ,野菜など畑作や畜産が行われる。豊富な水資源と比高の大きな段丘崖を利用した水力発電も盛んで,鹿渡(しかわたり)の信濃川発電所をはじめ10の発電所がある。歴史民俗資料館には重要有形民俗文化財に指定された秋山郷の民具が保存されている。中津川渓谷,七ッ釜(名・天),逆巻(さかさまき)温泉などの観光地があり,スキー場をはじめとする総合リゾート施設建設も進んでいる。JR飯山線,国道117号線が通じる。
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百科事典マイペディア 「津南」の意味・わかりやすい解説

津南[町]【つなん】

新潟県南部,中魚沼郡の町。中心集落は信濃川の河岸段丘上にあり,飯山線が通じる。絹織物工業,米作,ダイコン,ニンジン,キャベツなどの野菜栽培を行う。発電所が多い。中津川渓谷,逆巻(さかさまき)温泉,田代の七ッ釜(名勝・天然記念物)がある。170.21km2。1万881人(2010)。

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