流れ山(読み)ナガレヤマ

デジタル大辞泉 「流れ山」の意味・読み・例文・類語

ながれ‐やま【流れ山】

火山山体崩壊を起こし、岩石山麓さんろくに流下してできる地形。高さ数メートルから数十メートルの小丘が点在するもので、磐梯山北麓や九十九島などにみられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「流れ山」の意味・わかりやすい解説

流れ山 (ながれやま)

おもに成層火山の裾野に密集して存在する比高数m~100m,底径数十~数百mの小丘。急峻な成層火山の頂部が水蒸気爆発,地震などを引金に大崩壊し,崩壊物質が急速に斜面を流下して山麓に堆積したときに,その表面に形成される。1888年の磐梯山,1980年のアメリカ合衆国のセント・ヘレンズ火山で生じたものが有名。ほかに渡島(おしま)駒ヶ岳,有珠山,岩木山,岩手山,八ヶ岳,浅間山,赤城山,ニュージーランドのエグモント山,ルアペフ山などの成層火山や雲仙眉山(まゆやま),北海道然別(しかりべつ)などの溶岩円頂丘に存在する。流れ山は非火山地域にもある。岐阜県庄川流域の濃飛流紋岩からなる帰雲山は1586年北美濃地方で起こったM7.9の地震で崩壊,岩屑は庄川沿岸の帰雲城とその城下町を埋めたが,その岩屑の堆積面上には比高数mの流れ山がある。同様のものは福島県南会津地方大川流域の楢原や福井県大野盆地内にも見られる。

 流れ山の形態は頂部が丸みをおびた半球状であることが多いが,細長いもの,接合したもの,幾層にも積み重なったものなど複雑である。また,流れ山の構造も複雑で,山頂部崩壊前の溶岩流火砕岩が互層する構造を残したままの巨大ブロックが堆積面上に突出して流れ山をつくる場合もあれば,障害物の上に次々に崩壊物質が乗り上げるように堆積してつくったと思われる場合もある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「流れ山」の意味・わかりやすい解説

流れ山
ながれやま

山体が崩壊して生じる岩屑なだれ堆積物(がんせつなだれたいせきぶつ)の表面に特徴的にみられる丘状の突起地形。泥流丘ともいう。比高は数メートル~数十メートルで、100メートルを超えるものもある。大規模な岩屑なだれの中流以下に群をなすことが多く、流れた方向に伸長した輪郭をもったり、列をつくることがある。流れ山は、元の山体の一部を構成していたもので、運搬中に破壊されずに残ったものである。

諏訪 彰・中田節也]

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