邦楽の種目。江戸時代より流行歌(はやりうた)の別名として使われた。明治の中期から大正にかけ,寄席で人気のあった女芸人,立花家橘之助(たちばなやきつのすけ)が,1900年(明治33)に浮世節家元として公認され,一流派を立てた。橘之助は《大津絵》《とっちりとん》などの俗曲に,長唄,常磐津,清元節などを巧みに織り込み,陽気でおどけた歌詞と曲調に仕上げ,三味線の曲弾きを入れた《たぬき》といった曲で芸術性を高めた妙技をみせた。しかし橘之助没後,浮世節は中絶したが,第2次世界大戦後,西川たつ(1895-1959)が復活させ,1958年に芸術祭大衆芸能部門において芸術祭賞を受賞するなど劣らぬ芸をみせた。日本橋きみ栄(1915-93)らに継承されている。
執筆者:舘野 善二
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俗曲の一種。流行唄(はやりうた)の異称として江戸時代に用いられた例もあるが、近年では立花家橘之助(たちばなやきつのすけ)(1868―1935)の音曲をさす。鑑札をもたなければ舞台へ出られなかった1886年(明治19)に関西から帰京した橘之助は、「三都音曲語り分け」として東京、京都、大阪の歌を「落語」の鑑札で演じていたところ、臨席した警官の指示で、警視庁へ「浮世節」の鑑札下付を願い出た。このときは却下されたが、1912年東京府知事に家元を認可され、ここに「浮世節」は公認の名称となった。その後は「どどいつ」「とっちりとん」をはじめ、各種流行唄の替え歌によって世相をうがった。1950年代に西川たつ(1895―1959)がこの名称を用いたこともある。
[倉田喜弘]
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