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消費者安全調査委員会 しょうひしゃあんぜんちょうさいいんかい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

消費者安全調査委員会
しょうひしゃあんぜんちょうさいいんかい

消費者の生命・身体の安全を脅かす事故の原因を究明し,再発防止と被害軽減策を講ずることを目的に消費者庁に置かれる委員会。通称消費者事故調。2012年,消費者安全法に基づき設置された。事故および被害の原因を究明するための調査を行ない,被害の拡大や再発防止のために講ずるべき施策や措置について内閣総理大臣への勧告や関係行政機関への提言を行なう。身近な製品や施設の使用に起因する事故や食品による健康被害など,国土交通省運輸安全委員会で扱われる航空・鉄道・船舶事故を除くすべての分野が調査対象となる。委員会は,内閣総理大臣が任命する非常勤の委員 7人以内で組織され,任期は 2年。必要に応じて臨時委員,専門委員が任命される。関係者への聞き取りや現場への立入検査などの権限を有し,所管官庁や法規制が曖昧な事案にも対応する。

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知恵蔵の解説

消費者安全調査委員会

身近な暮らしのなかで生命・身体の安全に関わるような消費者事故について調査を行い、事故の発生・拡大防止のための施策・措置を提言するための機関。内閣府の外局である消費者庁に置かれ、調査権限を有し事故原因等について自ら調査する事故調査機関であることから、消費者事故調とも呼ばれる。刑事責任追及とは別に、原因を究明し再発防止を図ることを目的とし、2012年10月1日に発足した。内閣府に置かれた消費者委員会とは別組織である。
暮らしのなかのサービス・商品は多岐にわたり、各省庁など多様な行政機関がこれらをそれぞれ管掌する。そのため、旧来の縦割り行政では消費者の安全について有効な施策が行いにくいという弊害があった。これを解決して効果的な消費者行政を進めることを目指すものとして、消費者安全法などが成立し、09年9月に消費者庁及び消費者委員会が発足した。消費者安全委員会は消費者庁の審議会として、国家行政組織法(国行法)8条に定める合議制の機関として位置づけられる。7人の委員は学識経験者などから内閣総理大臣が任命し、委員は独立して職権を行使する。このほか、消費者の代表や実務専門家などを含む臨時委員、専門委員が置かれる。
調査対象は、国土交通省の審議会であった事故調査委員会(現在は運輸安全委員会)が扱う航空・鉄道などの運輸事故を除く、消費者に関わる幅広い事故。事故などの原因調査を行うために必要な限度において、立ち入り検査、物件提出・留置、物件保全・移動禁止、現場立ち入り禁止などを行うことができる。ただし、国行法8条に基づく「審議会等」にあたる委員会であるため、運輸安全委員会などの同3条に基づく「委員会」が備える規則の制定や原因関係者への勧告などの行政処分の権限は有しない。調査のために各分野の専門家による専門委員などを置いて自ら原因を調べるほか、他省庁などによる調査結果を評価。事故等の発生・拡大の防止及び被害の軽減のために講ずべき施策・措置について内閣総理大臣に勧告したり、各省庁に意見を述べたりして提言を行う。
12年10月の金沢のホテルでシンドラー社製エレベーターによる死亡事故が発生。これについて、同型エレベーターによる東京都港区の区営住宅における06年の事故の遺族が、消費者安全調査委員会に調査を申し出た。同委員会は06年の事故についての過去の調査内容の評価など、5件の事故の調査を決めた。同委員会が調査対象を選定したのはこれが初めてとなる。

(金谷俊秀  ライター / 2012年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

消費者安全調査委員会

10月1日に消費者庁に発足。食品や遊具など身近な暮らしに関わる事故の原因を調べ、刑事責任の追及とは別に再発防止に取り組む。現場保全や資料収集などの権限があり、拒めば罰則もある。再発防止策を事業者や関係省庁に提言する権限も持つ。年間100件程度の調査が目標。

(2012-11-06 朝日新聞 夕刊 2社会)

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デジタル大辞泉の解説

しょうひしゃあんぜんちょうさ‐いいんかい〔セウヒシヤアンゼンテウサヰヰンクワイ〕【消費者安全調査委員会】

消費者安全法に基づいて、平成24年(2012)に消費者庁に設置された委員会。消費者の生命・身体に被害が生じた事故の原因を究明するための調査などを行う。消費者事故調。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

消費者安全調査委員会
しょうひしゃあんぜんちょうさいいんかい

暮らしのなかで起きる製品事故や食品被害など消費生活上の生命・身体被害に係る事故の原因を究明する政府の専門機関。英語名はConsumer Safety Investigation Commission。エレベーター事故やエアコンの出火事故などでは責任の所在がはっきりせずに泣き寝入りする被害者が多かったという反省にたち、死亡や重傷を負った事故原因を調べ、再発防止策を内閣総理大臣に勧告する。2012年(平成24)の通常国会で改正された消費者安全法に設置が盛り込まれ、2012年10月1日に消費者庁内に設けられた。調査対象は、運輸安全委員会が担当する航空・鉄道・船舶事故を除くすべての事故で、エスカレーター事故、電機製品の出火事故、ガス製品の一酸化炭素中毒事故、プールや公園などの事故、おもちゃの誤飲、介護現場での事故、エステティックでのトラブルなどが対象となる。コンニャク入りゼリーをのどにつまらせたことによる窒息死などの所管官庁がはっきりしなかった「すきま事故」も対象となり、過去の事故や他省庁が所管する事故も調査する。このように、消費者にかかわる広範な事故を担当するため「消費者事故調」ともよばれる。
 初代委員長には、「失敗学」で知られる東京大学名誉教授の畑村洋太郎(1941― )がつき、7人の委員(いずれも内閣総理大臣が任命)で発足した。広く国民からインターネットなどで調査してほしい事故を申し出てもらい、消費者安全調査委員会が調査対象事故を選定する。事故ごとに専門委員や臨時委員を任命して調べ、刑事責任の追及とは別に関係者への聞き取りや立ち入り検査の権限をもつ。調査を拒否した場合は罰則もある。委員会は調査結果を1年以内に公表し、消費者庁や関係省庁へ再発防止策などを勧告・提言、関係省庁などが業者に改善を命令する。アメリカでは、1972年に設立された大統領直属の独立機関・消費者製品安全委員会(CPSC:Consumer Product Safety Commission)が年間予算1億2000万ドル、約500人の陣容で、消費者事故の調査にあたっている(2010)。日本の消費者安全調査委員会は年間約100件の調査を目標とするが、年間予算2億円弱、陣容20人程度のため、同委員会の調査には限界があるとの指摘が消費者団体などから出ている。[編集部]

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