改正消費者安全法に基づき2012年10月に創設。暮らしの中で起きる事故を幅広く調査対象として原因を究明し、再発防止策を首相や関係省庁に提言するが、責任追及は目的にしていない。各地の消費生活センターを通じて情報を集めるほか、被害者らの調査申し出も受け付ける。これまでに10件を調査対象に選び、最終報告に至ったのは5件。シンドラーエレベータ製エレベーターの死亡事故や染毛剤の皮膚障害など5件で調査を続けている。
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暮らしのなかで起きる製品事故や食品被害など消費生活上の生命・身体被害に係る事故の原因を究明する政府の専門機関。英語名はConsumer Safety Investigation Commission。エレベーター事故やエアコンの出火事故などでは責任の所在がはっきりせずに泣き寝入りする被害者が多かったという反省にたち、死亡や重傷を負った事故原因を調べ、再発防止策を内閣総理大臣に勧告する。2012年(平成24)の通常国会で改正された消費者安全法に設置が盛り込まれ、2012年10月1日に消費者庁内に設けられた。調査対象は、運輸安全委員会が担当する航空・鉄道・船舶事故を除くすべての事故で、エスカレーター事故、電機製品の出火事故、ガス製品の一酸化炭素中毒事故、プールや公園などの事故、おもちゃの誤飲、介護現場での事故、エステティックでのトラブルなどが対象となる。コンニャク入りゼリーをのどにつまらせたことによる窒息死などの所管官庁がはっきりしなかった「すきま事故」も対象となり、過去の事故や他省庁が所管する事故も調査する。このように、消費者にかかわる広範な事故を担当するため「消費者事故調」ともよばれる。
初代委員長には、「失敗学」で知られる東京大学名誉教授の畑村洋太郎(1941― )がつき、7人の委員(いずれも内閣総理大臣が任命)で発足した。広く国民からインターネットなどで調査してほしい事故を申し出てもらい、消費者安全調査委員会が調査対象事故を選定する。事故ごとに専門委員や臨時委員を任命して調べ、刑事責任の追及とは別に関係者への聞き取りや立ち入り検査の権限をもつ。調査を拒否した場合は罰則もある。委員会は調査結果を1年以内に公表し、消費者庁や関係省庁へ再発防止策などを勧告・提言、関係省庁などが業者に改善を命令する。アメリカでは、1972年に設立された大統領直属の独立機関・消費者製品安全委員会(CPSC:Consumer Product Safety Commission)が年間予算1億2000万ドル、約500人の陣容で、消費者事故の調査にあたっている(2010)。日本の消費者安全調査委員会は年間約100件の調査を目標とするが、年間予算2億円弱、陣容20人程度のため、同委員会の調査には限界があるとの指摘が消費者団体などから出ている。
[編集部]
(金谷俊秀 ライター / 2012年)
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