湾岸協力会議(読み)ワンガンキョウリョクカイギ(英語表記)Gulf Cooperation Council

デジタル大辞泉 「湾岸協力会議」の意味・読み・例文・類語

わんがん‐きょうりょくかいぎ〔‐ケフリヨククワイギ〕【湾岸協力会議】

ジー‐シー‐シー(GCC)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「湾岸協力会議」の意味・わかりやすい解説

湾岸協力会議
わんがんきょうりょくかいぎ
Gulf Cooperation Council

略称GCC。ペルシア湾岸6か国(アラブ首長国連邦バーレーンクウェートオマーンカタールサウジアラビア)による軍事・経済・文化・情報・社会・司法などの協力機構。事務局はサウジアラビアの首都リヤド。1981年5月、アラブ首長国連邦のアブ・ダビで開いた6か国首脳会議で設立を決定。1979年末から80年にかけてのイラン革命ソ連のアフガニスタン侵攻、イラン・イラク戦争などへの危機感が契機となった。加盟国間の緊密な協力と協調を目ざし、集団防衛によって大国の介入なしに石油航路の安全を確保すること、また経済的統合などをも目的としている。1990年8月からの湾岸危機では反イラクの共同防衛体制をとり、91年の湾岸戦争後はアメリカ主導の軍事同盟に傾いた。しかしサウジアラビア・カタール、カタール・バーレーン間など加盟国内に領土紛争があり、1992年11月の国防相・外相会議にカタールが不参加。これを発端に1995年12月の首脳会議ではサウジアラビア国王が病気を理由に欠席、カタール首長も共同宣言の採択を拒否。1996年12月の首脳会談をバーレーンがボイコットするなど、内部対立をさらけ出した。2003年のイラク戦争でも、その対応について各国間で意見統一ができなかった。一方、経済問題については、2003年に関税同盟結成が決定している。また、日本はGCC諸国から大量の原油天然ガスを輸入しており、日本とGCCの間で自由貿易協定(FTA)交渉が進められていて、2006年にその初会合が行われた。

[奥野保男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「湾岸協力会議」の意味・わかりやすい解説

湾岸協力会議【わんがんきょうりょくかいぎ】

Gulf Co-operation Council,略称GCC。ペルシア湾岸のアラブ王制産油国(クウェート,サウジアラビア,バーレーン,カタール,アラブ首長国連邦,オマーン)が参加して1981年5月に設立された地域協力機構。本部リヤド。経済協力,軍備統一,治安情報の交換などを行っている。設立の背景には,イランによる〈革命の輸出〉の阻止や,イラン・イラク戦争による湾岸地域の緊張への対処などがあった。毎年1回12月首脳会議が開催される。
→関連項目中東

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「湾岸協力会議」の意味・わかりやすい解説

湾岸協力会議
わんがんきょうりょくかいぎ
Gulf Cooperation Council; GCC

湾岸の王制または首長制をとるアラブ6ヵ国が結成した地域協力機構。 1979年2月のイランのイスラム革命,同年 12月のソ連のアフガニスタン侵攻,80年9月のイラン=イラク戦争の勃発などで安全保障上の危機を感じたサウジアラビア,クウェート,カタール,バーレーン,アラブ首長国連邦,オマーンの6ヵ国が 81年2月にリヤードで会合,同年5月に発足させた。本部はリヤード。経済協力を第一の目標にしているが,実態的には安全保障や治安面での協力がねらい。イラン=イラク戦争ではイラクを支持し,湾岸戦争では反イラクで結束したが,湾岸戦争の経験から安全保障面ではアメリカへの依存を明確にするようになった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

知恵蔵 「湾岸協力会議」の解説

湾岸協力会議

サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、カタール、オマーンの6カ国が1981年に結成した地域協力機構。構成メンバーはすべて君主制の国であり、イバディー派のオマーン以外の支配層はスンニ派である。バーレーン以外はエネルギー輸出国。本来はイラン革命後の地域の不安定化に対処するために成立した組織であるが、加盟国の間には領土紛争を含む問題があり、その団結力には疑問符が付けられている。

(高橋和夫 放送大学助教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android