「うるしはく」ともいう。金箔を漆で接着させる技法。主として木造彫刻、乾漆(かんしつ)像などに用いる。木地に下地を施し、さらに上塗漆を塗って金箔を張る。ほとんど木像に限られているが、石像や塑像のほか、鎌倉大仏のように、銅像でありながら、鍍金(ときん)(金めっき)ができないので漆箔を施したものもある。平安末から鎌倉初期にかけては、像の胎内にも金箔や銀箔を張るという特殊な例もみられる。また中尊寺金色堂は建築に漆箔の技法を用いた例である。彫刻の場合、全身に漆箔する(ただし髪部は漆箔せず群青(ぐんじょう)彩とする)ものと、肉身部だけ漆箔とし、衣の部分には彩色を施すものとがある。
[佐藤昭夫]