漢部郷(読み)あやべごう

日本歴史地名大系 「漢部郷」の解説

漢部郷
あやべごう

和名抄刊本は「後部」と記すが、「漢部」(高山寺本)の誤記であろうと思われる。郷域は由良川と南方四ッ尾よつお山の間の沖積地。郡中央にあたり、東および北は由良川を隔て三方みかた郷・吉美きみ郷、西は志麻しま郷、南は山稜によって天田郡と境界を分ける。

平城宮出土木簡に「丹波国綾部 」とみえる。「三代実録」貞観八年(八六六)九月二〇日条に「何鹿郡人漢部福刀自」、また同仁和三年(八八七)六月五日条に「何鹿郡人漢部妹刀自」がみえる。


漢部郷
あやべごう

郷域は現三養基みやき中原なかばる町全域と上峰村北部(近世屋形原やかたばるつつみ船石ふないしの三ヵ村)の地域に比定され、ほぼ近世の綾部あやべ郷の郷域に相当する。北は石谷いしだに山など山地の麓、ほかは洪積丘陵に限られる平地である。

肥前風土記」に、

<資料は省略されています>

とある。昔、来目皇子が新羅を討とうとして忍海漢人を連れて来て、この村に居住させて兵器を造らせた、よって漢部郷あやべのさとというとの伝承である。


漢部郷
あやべごう

「和名抄」刊本・高山寺本ともに漢部と記すが、訓はない。「大日本地名辞書」に、「漢部本書に注を欠く、阿也辺と読むかと思わるるも、今其名を聞かず、丹波志小川郷の南(我脱)部佐伯二郷の東に漢部を画けば、余部あまるべ村の辺に当る。按ふに漢は古書に漢河と連ねて天河あまのかわと相通ず、即阿万と読む、故に阿万留にも仮る。(中略)本郡漢部郷の旧域は即大抵今の亀岡町にあたる。丹波国宮社考に、延喜式走田神社は走田郷余部村に在りと、余部今亀岡町へ入る。走田も地名なるべし」とある。「日本地理志料」には、「訓闕、按当読云安夜倍(中略)神鳳抄丹波国漢部御厨内宮領、漢部今亡、按図南郡神地・神原二村、疑御厨之遺名、亘大野、笑路、大槻並万願寺、寺田、牧、湯谷、倉谷、鎌倉、栢原、南掛、二科諸邑、或其地也」とあり、「神鳳鈔」に「漢部御厨」がみえるが、丹波国には何鹿いかるが郡にも漢部郷があり、いずれとも決めがたい。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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