澎湖島(読み)ほうことう(英語表記)Péng hú dǎo

改訂新版 世界大百科事典 「澎湖島」の意味・わかりやすい解説

澎湖島 (ほうことう)
Péng hú dǎo

台湾の西方約50km,台湾海峡中にある群島で,63の島からなり,面積127km2。ヨーロッパでは魚人島の意でペスカドールPescadoresという。主島澎湖のほか白沙漁翁などがおもな島である。すでに宋代の文献には澎湖の名があらわれ,このころより漢人が居住していた。明代には海賊巣窟となっていたが,明末・清初には福建省からの移住者がふえ,農耕,漁業に従事した。島は火山活動によって玄武岩海中に噴出してできた低い台地で,島の周囲をサンゴ礁が取りかこみ,良港湾を形成する。このため,19世紀ヨーロッパの列強が台湾を手中にしようとした際,経略の要地として注目した。日本領時代には,海軍の要港となっていた。漁業が盛んであるが,米作は困難で,食料の大部分を移入している。中心都市は馬公。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「澎湖島」の意味・わかりやすい解説

澎湖島
ほうことう / ポンフータオ

中国南東部、台湾海峡上にある澎湖列島最大の島。台湾島の西50キロメートルに位置し、台湾の澎湖県に所属する。面積64平方キロメートル。旧称平湖(へいこ)。地勢が平坦(へいたん)で、おもに玄武岩からなり、周囲はサンゴ礁に覆われる。歴史的に台湾島より開発が早い。中心地の馬公(まこう)は天然の良港で、軍事上の要衝となっている。海上の守護神媽祖(まそ)にちなむ信仰が盛んで、町の中心に媽祖廟(びょう)がある。漁業が主産業で、農業は、風が強く雨が少ないため、サツマイモとラッカセイの生産が中心である。

[劉 進 慶]

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百科事典マイペディア 「澎湖島」の意味・わかりやすい解説

澎湖島【ほうことう】

台湾の群島。台湾海峡の澎湖・白沙・漁翁の3島を中心に64島からなり,うち20余の島に人が住んでいる。島々全体が澎湖県となっており,総面積126.8km2。標高50m以下の玄武岩のメーサ状溶岩台地で,サツマイモ,コーリャン,ラッカセイを産し,漁業も盛ん。主島澎湖島は64km2,島の中心地馬公市は人口9万7157人(2011)。台湾本島の台北,高雄,台中,台南との間に航空路が開設され,観光地として賑わっている。珊瑚礁に囲まれた常夏の地で,マリン・スポーツのメッカ。白砂島と西嶼を結ぶ跨海大橋は台湾最長(全長約5541m)の橋。
→関連項目台湾台湾海峡

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旺文社世界史事典 三訂版 「澎湖島」の解説

澎湖島
ほうことう
Pénghú Dǎo

台湾の西岸沖合50㎞,台湾海峡南部に位置する島
澎湖諸島中最大で,古くから交通・軍事上の要地とされ,明代には鄭成功 (ていせいこう) の活動拠点となった。日清戦争後,1895年の下関条約で日本に割譲されたが,第二次世界大戦後,中国に返還され,現在は台湾政府とアメリカの共同防衛の基地となっている。

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