濡らす(読み)ヌラス

デジタル大辞泉 「濡らす」の意味・読み・例文・類語

ぬら・す【×濡らす】

[動サ五(四)]
ぬれた状態にする。「涙でほおを―・す」
やっと暮らしを立てる。
「僅に尋中の教師に口は―・しても」〈魯庵社会百面相
色めかしいそぶりをする。
威勢でおどし、文で―・し、色かへ品かへ口説きしを」〈浄・女楠
[類語]濡れる湿る潤う湿す潤す濡れそぼつ湿気る潤む浸潤じめつくじとつくそぼつそぼ濡れるしょぼたれるしょぼ濡れる潮たれる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「濡らす」の意味・読み・例文・類語

ぬら・す【濡】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. ぬれるようにする。水などにしめす。うるおす。
    1. [初出の実例]「血流れて泥と成りて、其の地を霑(ヌラシ)(けが)せる」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一〇)
    2. 「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)出羽三山)
  3. 相手のよろこぶような色めかしい言語動作をする。色めかしさで人の心を動かす。巧言をもってたらしこむ。
    1. [初出の実例]「男とても、けいせいをぬらさぬにはあらじ」(出典:評判記・美夜古物語(1656頃))
  4. ( 「口をぬらす」の形で ) 貧しい生活をする。やっと暮らしを立てる。
    1. [初出の実例]「曲りなりにも親子三人の口をぬらして」(出典:大つごもり(1894)〈樋口一葉〉上)

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