潮垂れる(読み)シオタレル

デジタル大辞泉 「潮垂れる」の意味・読み・例文・類語

しお‐た・れる〔しほ‐〕【潮垂れる/塩垂れる】

[動ラ下一][文]しほた・る[ラ下二]
みすぼらしいようすになる。元気がないように見える。
「しょぼしょぼと―・れた姿で帰って来る」〈花袋田舎教師
衣服などが潮水にぬれて、しずくが垂れる。また、雨・露・霜などにぬれる。
露霜に―・れて、所定めず惑ひありき」〈徒然・三〉
涙を流す。泣きぬれる。
御覧ずるたびごとに、九条殿―・れさせ給はぬ折なし」〈大鏡・公季〉
[類語]濡れる湿る潤う湿す濡らす潤す濡れそぼつ湿気る潤む浸潤じめつくじとつくそぼつそぼ濡れるしょぼたれるしょぼ濡れる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「潮垂れる」の意味・読み・例文・類語

しお‐た・れるしほ‥【潮垂・塩垂】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]しほた・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 衣服などが潮水にぬれてしずくがたれる。また、雨や露・霜などにぬれる。
    1. [初出の実例]「旧里をこふるたもともかはかぬに又しほたるるあまも有けり〈恵慶〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)雑恋・一二四六)
  3. 涙で袖がぬれる。また、嘆き悲しむ。心がひきたたないで沈みがちになる。
    1. [初出の実例]「なにのうれしげもなくぞ、しほたれ給ひける」(出典:多武峰少将物語(10C中))
  4. 斎宮忌み詞。泣く。
    1. [初出の実例]「帝ののしりあはれがり給(たま)て、御しほたれ給ふ」(出典大和物語(947‐957頃)一四六)
  5. ( 歴史的かなづかいは「しをたれる」か ) みすぼらしくみじめな様子になる。汚れてよれよれになる。なえる。
    1. [初出の実例]「花色もしをたれてみゆ也」(出典:杜詩続翠抄(1439頃)二)
    2. 「形(なり)から品(ふり)からしほたれて、みるめかいなきあまごろも」(出典:浮世草子・元祿大平記(1702)二)

潮垂れるの補助注記

については「亦種々の事忌定給き〈略〉鳴を塩垂と云」〔皇太神宮儀式帳〕、「凡忌詞哭称塩垂」〔延喜式‐五〕などの記述があるが、これは単に「泣く」ことではなく「人の死に際して泣く」場合に限られたようである。

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