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近世説美少年録 きんせせつびしょうねんろく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

近世説美少年録
きんせせつびしょうねんろく

江戸時代後期の読本滝沢馬琴作。歌川国貞ら画。 40冊 50巻。第1集は文政 11 (1828) 年,最終巻は弘化4 (47) 年成立。未完。後半は『新局玉石童子訓』と改題して続けられたもの。馬琴晩年の作。足利将軍の九州菊池氏鎮圧に端を発し,お夏清十郎の名を借りた女歌舞伎お夏と大内家の臣陶 (すえ) 瀬十郎との恋,2人の間に生れた珠之介改め末朱之介晴賢 (はるかた) と,大江弘元の子杜四郎成勝との間に起る事件などを描く。朱之介は陶晴賢,杜四郎は毛利元就になぞらえてあり,天文 24 (1555) 年の厳島の戦いに取材している。杜四郎を善役,朱之介を悪役とし,勧善懲悪物に仕立ててあるが,単なる因果話でなく,人情の機微に触れる面を描いているところが,馬琴の読本としては珍しい。

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デジタル大辞泉の解説

きんせせつびしょうねんろく〔キンセセツビセウネンロク〕【近世説美少年録】

読本。3輯(しゅう)15冊。曲亭馬琴著。文政12年~天保3年(1829~1832)刊。善悪二人の美少年の対立を主とする勧善懲悪物語。弘化2年(1845)から続編「新局玉石童子訓」を刊行したが、6輯30冊で中断。

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世界大百科事典 第2版の解説

きんせせつびしょうねんろく【近世説美少年録】

読本。曲亭馬琴作。国貞・北渓画。第1輯1828年(文政11),第2輯1829年(文政12),第3輯1832年(天保3),第4輯1834年(天保5)刊。一時中断の後,続編は《新局玉石童子訓》と改題し,失明後の馬琴の口授編纂にかかり,1845‐48年(弘化2‐嘉永1)に至るまで30巻30冊(正続ともに50巻45冊)が刊行されたが,馬琴病没のため,ついに未完に終わった。動乱の戦国に時代をかり,大内家家臣陶(すえ)瀬十郎と女歌舞伎阿夏(おなつ)との間に生まれ,のちに主君大内義隆を滅ぼす末朱之介(すえあけのすけ)晴賢(はるかた)と,厳島の戦で晴賢を破る大江杜四郎(もりしろう)成勝の,悪と善の2少年の行状を中心に物語は展開する。

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大辞林 第三版の解説

きんせせつびしょうねんろく【近世説美少年録】

読本。三輯一五冊。曲亭馬琴作。1829年~32年刊。大内義隆を滅ぼした陶晴賢と毛利元就に擬せられた悪と善の二人の美少年の物語。続編は「新局玉石童子訓」(六輯三〇冊)として1845年から48年に刊行されたが未完。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

近世説美少年録
きんせせつびしょうねんろく

江戸時代の読本(よみほん)。曲亭馬琴(ばきん)作、歌川国貞(くにさだ)・岩窪(いわくぼ)北渓・3世豊国挿絵。41巻45冊。初輯(しょしゅう)は1829年(文政12)、2輯は30年、3輯は32年(天保3)に大坂屋半蔵と丁字屋(ちょうじや)平兵衛から刊行され、続編『新局玉石童子訓(しんきょくぎょくせきどうじくん)』は、初帙(しょちつ)、2帙が1845年(弘化2)、3帙、4帙が46年、5帙が47年、6帙が48年に丁字屋平兵衛から刊行されたが未完に終わる。正史に著名な厳島(いつくしま)合戦に取材し、主君大内義隆(よしたか)を弑(しい)し毛利元就(もうりもとなり)に滅ぼされた陶晴賢(すえはるかた)を、阿夏(おなつ)と陶瀬十郎との道ならぬ子末朱之介晴賢(すえあけのすけはるかた)とし、毛利元就を大江杜四郎成勝(もりしろうなりかつ)としてこれに配し、悪と善の2少年の伝をたてた。中国清(しん)代の白話(はくわ)小説『檮間評(とうごつかんびょう)』に構想を借り、人情と悪の描写に精彩を放っている。[徳田 武]
『『近世説美少年録』上下(1917・有朋堂文庫)』

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