火桶(読み)ヒオケ

デジタル大辞泉 「火桶」の意味・読み・例文・類語

ひ‐おけ〔‐をけ〕【火×桶】

木製の丸形の火鉢表面木地のまま、または漆を塗り、蒔絵まきえなどを施し、内側金属板を張ったもの。 冬》

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精選版 日本国語大辞典 「火桶」の意味・読み・例文・類語

ひ‐おけ‥をけ【火桶】

  1. 〘 名詞 〙 木製の丸火鉢。表面を木地のまま、あるいは漆を塗り、蒔絵などを施し、内に金属のおとしを納め、中に灰をいれ、炭火を用いて保温の具とする。江戸時代に至って陶製の丸火鉢をも含めていった。《 季語・冬 》
    1. 火桶〈枕草子絵巻〉
      火桶〈枕草子絵巻〉
    2. [初出の実例]「ひをけの銘 ゆめにだにねばこそ見えめ埋火のおきゐてのみぞ明かしはてつる」(出典:躬恒集(924頃))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「火桶」の意味・わかりやすい解説

火桶
ひおけ

暖房具の一種。『枕草子(まくらのそうし)』にみえるように古くから使われてきた。キリの木をくりぬいたりヒノキ材を曲げたりして、内に真鍮(しんちゅう)を張り灰を入れ、あるいは、こね土製の火入れを置いて炭火によって暖をとった。木炭普及と、薪(たきぎ)を求めがたい都市風の生活によって広く利用されるようになった。火櫃(ひびつ)が炉や部屋に据え付けられた四角い火鉢であるのに対して、火桶は持ち運びができる丸火鉢という違いがある。多数の者が集まる場合には今日でも使われることがある。

天野 武]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「火桶」の意味・わかりやすい解説

火桶
ひおけ

調度一つ。丸型の木製の火鉢で,円火鉢ともいう。桐の木などをくりぬいてつくる。平安時代の頃から上流階級の間に用いられ,外側山水洲浜,竹にうぐいすなどを描いた絵火桶も用いられた。

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世界大百科事典(旧版)内の火桶の言及

【火鉢】より

… 火鉢は和風住宅の暖房器具を代表するものといえる。古くは火桶(ひおけ),火櫃(ひびつ),炭桶,炭櫃などといわれたが,基本的には火鉢と同じものである。元来,火桶,炭桶は木製曲物(まげもの)または刳物の容器,火櫃,炭櫃は木製指物の容器をいうが,実際には瓦製なども火桶とよんでいた。…

※「火桶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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