不完全菌類のColletotrichum属菌,Gloeosporium属菌の寄生によって起こる植物の病害。炭疽病菌の中には有性世代の知られているものもある(例えばGlomerella)。植物の葉,茎,果実などに発生して鮮明な病斑を作り,しばしば黒っぽく凹んだ壊疽(えそ)を作ることから病名が与えられた。病斑が古くなると,黒い凹部にサーモンピンクの粘塊を生ずる。これは本菌の分生子で,飛散して第2次伝染源となる。また分生子あるいは病斑部に潜む菌糸は夏を越し,また越冬して翌年の発生源となる。これは第1次伝染源である。子囊胞子を形成するものもあるが病気の拡大に大きな役割をもつのは分生子である。よく知られたものに,スイカ,インゲン,タマネギ,カキ,ブドウなどの炭疽病がある。ブドウの炭疽病は晩腐(おそぐされ)/(ばんぷ)病と呼ばれる。これらの植物ではとくに果実,鱗茎の被害が大きい。オーチャードグラス炭疽病は葉に褐色の斑点を多量に作り,被害が大きい。炭疽病の発生が多いときには,有機硫黄剤を散布すると防除効果がある。なお,ヒトや家畜がかかる同名の病気については〈炭疽〉の項目を参照されたい。
執筆者:寺中 理明
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穀類、豆類、野菜、果樹、樹木など有用植物の葉、枝、果実、種子などに発生する病気。葉では淡褐色ないし黒褐色の類円形の病斑(びょうはん)を、果実など多肉の部分では褐色から暗褐色のへこんだ円形の病斑をつくり、のちに病斑の表面に桃色ないし鮭肉色(けいにくしょく)の特徴のある粘質物(分生胞子の塊)を生ずる。病原は不完全菌類に属するコレトトリクムColletotrichum、またはこれらの完全時代であるグロメレラGlomerella属の糸状菌(カビ)で、日本では70種近くの種が知られている。代表的なものは、コムギ、トウモロコシおよびイネ科牧草の炭疽病(C. graminicolaによる)、インゲンマメ、ササゲの炭疽病(C. lindemuthianumによる)、キュウリ、スイカなどのウリ類の炭疽病(C. orbiculareによる)、柑橘(かんきつ)類、シュンギク、キンセンカ、ラン類(カトレア、デンドロビウム)の炭疽病(C. gloeosporioidesによる)、イチゴおよびベゴニア、コスモス、アネモネなど花類の炭疽病(C. acutatumによる)、リンゴ、ナシ、カキ、ピーマン、シンビジウムの炭疽病(Glomerella cingulataによる)などがある。病植物を除去するほか、有機銅剤、TPN剤、トリアジン剤、ベノミル剤、マンゼブ剤などの殺菌剤を散布して防除する。
[梶原敏宏]
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