コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

不完全菌類 ふかんぜんきんるいFungi Imperfecti

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

不完全菌類
ふかんぜんきんるい
Fungi Imperfecti

有性生殖の器官や現象が認められない真菌類。これらは独立した種とは認められても,子嚢形成をするか担子器形成をするかがわからず,系統を論じることは不可能なので,その分類はまったく人為的に胞子分生子の形態やその形成の型式に基づいて行われる。したがって,この分類群は体型分類群 form-speciesであって,系統と関連のある自然分類群ではない。従来この分類については,胞子そのものの型に基づいたサッカード方式が用いられていたが,最近は胞子の形成の型式に重点をおくヒューズ-椿方式に切替えられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ふかんぜんきんるい【不完全菌類 fungi imperfect】

菌類のうち,菌糸状あるいは酵母状で,無性的にできる胞子囊胞子(ケカビなど)や,分生子(アオカビ,コウジカビなど)だけしか知られていない群を指す。菌類の分類は,植物の花や実に相当する有性生殖器官(キノコ子実体など)の形態や,そこに形成された胞子の形状に基づいて行われる。したがって子囊菌における子囊果や,担子菌におけるキノコの子実体がみつかっていないカビなどは,分類学的に不完全だということで,この名のもとにまとめられる。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

ふかんぜんきんるい【不完全菌類】

真菌類のうち有性生殖すなわち子囊または担子器の形成をみないものを一括して設けた菌類の分類群。分生子などのみ知られたかび類が多く、1千属以上約1万種が知られている。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

不完全菌類
ふかんぜんきんるい
[学]Deuteromycotina

不完全菌とは、系統分類の基準となる有性生殖法が知られていない菌の総称である。したがって、その正当な所属を決める特徴がない。しかし、栄養体と無性生殖法の特徴によって、それが所属する菌群(この場合は分類学上の菌門)を判定することはできる。いろいろの菌門に不完全菌が含まれているのは、こうした理由による。
 これらとは別に、子嚢(しのう)菌類(子嚢菌門)の亜門とされる不完全菌類がある。ここで特に亜門を設けるのは、分生子(無性的な胞子の一種)で繁殖する無性段階(分生子段階・不完全段階)の不完全菌の数が1万6000種を超えるおびただしい数であるため、分生子形成の特徴に基づいて整理しておくことは、新種の研究および既知種の有性段階(子嚢段階・完全段階)を探る助けとなるからである。したがって、この亜門は便宜上つくられた人為分類群といえる。この菌群に含まれたもののうち、実際に有性生殖が明らかになったものの大部分は、子嚢菌としての正当な所属が決められてきた。[寺川博典]

分類

不完全菌類は、酵母状不完全菌綱、糸状不完全菌綱、分生子果不完全菌綱、および地衣不完全菌綱に大別される。
(1)酵母状不完全菌綱
〔1〕クリプトコックス目 出芽を行う単細胞体のものを含む(現在では、例外的に数種のものは担子菌類であることがわかり、クロボキン目に移された)。
(2)糸状不完全菌綱
〔1〕モニリア目(叢生(そうせい)不完全菌目) コウジカビ、アオカビ、イモチキンなど多くの属を含む。
〔2〕ツベルクラリア目(分生子座(しざ)不完全菌目) 植物類に立枯(たちがれ)病や乾腐病などをおこすフサリウムなどのほか、分生子座上に分生子柄(へい)を密生する多くの属を含む。
〔3〕クモタケ目(分生子柄束不完全菌目) クモタケその他がある。
〔4〕菌糸型不完全菌目(無胞子菌目) 担子菌類ツラズネラ目に移されたものもある。
(3)分生子果不完全菌綱
〔1〕メランコニア目(分生子床不完全菌目・黒粉菌目)
〔2〕スフェロプシス目(粉胞子器不完全菌目)
(4)地衣不完全菌綱[寺川博典]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の不完全菌類の言及

【菌類】より

…また運動性のある菌は特殊な器官をもつ。
[分類,体制]
 変形菌門Myxomycotaと真菌門Eumycotaの二つの門に大別され,後者は鞭毛菌類接合菌類子囊菌類担子菌類不完全菌類の五つの亜門に分けられる。この分類基準は有性生殖器官の形質におかれ,したがって有性生殖の見いだされないものは,とりあえず不完全菌類としてまとめられている。…

【植物】より

…生物界を動物と植物に二大別するのは,常識の範囲では当然のように思えるが,厳密な区別をしようとするとさまざまな問題がでてくる。かつては生物の世界を動物界と植物界に二大別するのが常識だったが,菌類を第三の界と認識すると,それに対応するのは狭義の動物(後生動物),狭義の植物(陸上植物)ということになり,原生動物や多くの藻類などは原生生物という名でひとまとめにされ,また,これら真核生物に比して,細菌類やラン藻類は原核性で,原核生物と別の群にまとめることができる。…

※「不完全菌類」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

不完全菌類の関連キーワードケムリイロコウジカビ(煙色麹黴)オサムシタケ(歩行虫茸)ハクセンキン(白癬菌)ハクキョウビョウキンコウジカビ(麴黴)アワモリコウジカビコウジカビ(麹黴)クモタケ(蜘蛛茸)バーティシリウムカワキコウジカビクロカビ(黒黴)ニホンコウジカビクリプトコックスつる(蔓)割れ病トリコスポロン属クラドスポリウムアオカビ(青黴)アスペルギルスアルテルナリア水生不完全菌類

今日のキーワード

桃李もの言わざれども下自ら蹊を成す

《「史記」李将軍伝賛から》桃やすももは何も言わないが、花や実を慕って人が多く集まるので、その下には自然に道ができる。徳望のある人のもとへは人が自然に集まることのたとえ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android