無ガンマグロブリン血症(読み)ムガンマグロブリンケッショウ

デジタル大辞泉 「無ガンマグロブリン血症」の意味・読み・例文・類語

むガンマグロブリン‐けっしょう〔‐ケツシヤウ〕【無ガンマグロブリン血症】

体内免疫グロブリンGがまったく産生されない病気B細胞抗体が作られず、感染症にかかりやすくなる。X連鎖無ガンマグロブリン血症が約85パーセントを占める。→低ガンマグロブリン血症

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内科学 第10版 「無ガンマグロブリン血症」の解説

無ガンマグロブリン血症(原発性免疫不全症候群)

(4)無ガンマグロブリン血症(agammaglobulinemia)
概念・病因
 B細胞の分化障害が原因の液性免疫不全症である.主要な原因は,X染色体上のBTK遺伝子の変異であるが,常染色体劣性遺伝疾患もある.
臨床症状
 母親からの移行抗体の減少する生後2カ月頃より,遅くとも5歳までに発症し,中耳炎,副鼻腔炎,肺炎などの細菌感染症を反復する.起炎菌としては,莢膜を有するインフルエンザ桿菌や肺炎球菌が多い.その他の感染症の原因としては,エンテロウイルスが重要である.
検査成績
 血清中の免疫グロブリンが著しく減少しており(IgG<200 mg/dL,IgA<20 mg/dL以下,IgM<20 mg/dL以下),免疫学的には特異抗体が欠損している.フローサイトメトリーで,末梢血単核球中のB細胞は2%以下と著減している.骨髄のB細胞分化は,プロB細胞からプレB細胞への移行段階で停止している.B細胞系列以外には異常は認めない.
診断
 身体所見ではリンパ節を触知せず,口蓋扁桃が小さい.薬剤性や感染性の二次性のB細胞減少症を除外し,分類不能型免疫不全症,高IgM症候群などと鑑別診断する.
合併症
 感染症のコントロールが不十分だと慢性閉塞性肺疾患COPD)を高頻度に合併する.エンテロウイルスによる中枢神経感染症が慢性化することがある.
予後
 早期診断・治療開始により予後は改善する.
治療
 免疫グロブリン補充療法.[峯岸克行]
■文献
Notarangelo LD, Fischer A, et al: Primary immunodeficiencies: 2009 update. J Allergy Clin Immunol, 124: 1161-1178, 2009.
Ochs HD, Smith CIE, et al: Primary Immunodeficiency Diseases, 2nd ed, Oxford University Press, New York, 2007.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「無ガンマグロブリン血症」の意味・わかりやすい解説

無ガンマグロブリン血症
むガンマグロブリンけっしょう
agammaglobulinemia

免疫不全の一つ。血清中のγ-グロブリンの欠如している疾患で,抗体γ-グロブリンができないために,いくつかの種類の細菌感染を繰返す。男子多く伴性劣性遺伝を示すとされている。

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