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隠花植物 いんかしょくぶつflowerless plants; Cryptogamae

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

隠花植物
いんかしょくぶつ
flowerless plants; Cryptogamae

花が隠れている植物という意味で,植物界のうち明瞭な「花」をもつ顕花植物 (種子植物) 以外のものの総称。したがってシダ植物やコケ植物をはじめ,藻類菌類も花のない植物という意味でこのなかに含まれる。それゆえ,内容はきわめて雑多で系統的な分類群の名ではなく,また「花」そのものの定義によってはヒカゲノカズラスギナ胞子嚢穂は一種の「花」と考えられるため,近年の分類学では死語になりつつある。

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百科事典マイペディアの解説

隠花植物【いんかしょくぶつ】

花をつけない植物群の総称。顕花植物の対語。繁殖は種子ではなく,胞子によって行われ,シダ植物コケ植物よりなる。かつて含まれていた菌類(子嚢菌,担子菌など),藻類(紅藻,褐藻,緑藻,ケイ藻,ラン藻など),変形菌などは現在,植物として扱われないことが多い。
→関連項目レイ

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世界大百科事典 第2版の解説

いんかしょくぶつ【隠花植物 cryptogam】

花をもたない植物群の総称。顕花植物の対語。本草学(薬物学)としてはじまった植物学が,それから独立して植物学として歩みはじめたのは18世紀中ごろからで,リンネ以後のことである。リンネは花の形態学的属性によって植物を24綱に分類した(1738)が,そこではじめて花の咲かない植物を隠花植物としてひとまとめにして1綱に扱った。隠花植物を植物界の1/24として扱ったわけである。それにはシダ植物,コケ植物,藻類,菌類を含み,系統学的には異質な植物群の集合であった。

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大辞林 第三版の解説

いんかしょくぶつ【隠花植物】

胞子植物の旧称。 ↔ 顕花植物

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

隠花植物
いんかしょくぶつ

花をつけないで胞子で繁殖する植物の総称。リンネC. von Linnが『植物の種』(1753)で植物界を24綱に分類し、そのなかでシダ類、コケ類、藻類、菌類を一つにまとめて隠花植物とした。のちにフランスの植物学者ブロニャールA. T. Brongniartが植物界を花の有無で大別し、花をつけるものを顕花植物、花のないものを隠花植物にまとめた。隠花植物は胞子で繁殖し、維管束のない簡単な体制をもつが、系統発生上は異なる分類群なので、普通これを葉状植物、コケ植物、シダ植物に分けて扱う。葉状植物は生殖器官が単細胞で、その外側を栄養細胞が囲んでいない。シダ植物には維管束がよく発達した茎と葉があり、無性世代が優勢である。コケ植物は有性世代がよく発達し、生殖器官は多細胞で、茎と葉の分化は小さい。このように隠花植物は種子をつくらない植物群の人為的分類に基づいたものであり、現在の分類学上ではほとんど用いられていない。[杉山明子]

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世界大百科事典内の隠花植物の言及

【維管束植物】より

…しばしば高等植物と呼ばれることがある。 かつて,植物界を花の有無によって顕花植物と隠花植物に二分する分類法があった(ブロニャールA.Brongniart,1843)。比較器官学の立場から花は〈茎頂に胞子葉が密生したもの〉と定義づけられるので,隠花植物に属するシダ植物の中にも一種の花を咲かせるものがあることになる(例,ヒカゲノカズラ,トクサ)。…

【下等植物】より

…厳密な定義があるわけではないが,一般にはコケ,藻,菌など維管束をもたない植物の総称で,いわば無管束植物と同義語である。ときには隠花植物または胞子植物と同義に用いられる。【西田 誠】。…

【菌類】より

…この分類基準は有性生殖器官の形質におかれ,したがって有性生殖の見いだされないものは,とりあえず不完全菌類としてまとめられている。 歴史的にみて,ミケーリP.A.Micheliの《新しい植物の属Nova Plantarum Genera》(1729)にはすでに大型の菌類はのっているが植物として取り扱われ,リンネの《植物種誌Species Plantarum》(1753)では藻類といっしょに隠花植物Cryptogamiaとしてまとめられ,この呼び方はその後長い間つかわれてきた。菌類の分類研究が独立して行われたのは1800年代からで,ペルズーンC.H.Persoon(1761‐1836),フリースE.M.Fries(1794‐1878)らが創始者といえよう。…

※「隠花植物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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