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胃酸がまったく分泌されない状態をさす。胃酸欠如症ともいう。無酸症の判定には最高刺激試験を行うことが必要であり、さらに胃はアルカリ性粘液などの緩衝物質をも分泌するので、採取された胃液の滴定酸度を測定するだけでなく、経時的に水素イオン濃度(pH)の低下がないことも確かめなければならない。無酸症の典型は悪性貧血であるが、そのほか高度萎縮(いしゅく)性胃炎や進行胃癌(いがん)など胃粘膜の高度萎縮性変化を伴う場合にみられる。しかし臨床的には、膵臓(すいぞう)に腫瘍(しゅよう)があって水様性下痢、低カリウム血症、胃酸分泌障害を示すWDHA症候群や高度の貧血あるいは水・電解質障害などのように、胃粘膜にとくに形態学的変化がないのに機能障害のため無酸症をみることもあり、この場合は機能障害の原因を除去すれば無酸症は一過性に終わる。
[石森 章]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…これを促進する因子として,塩からい食物,熱い食物,胆汁の逆流などがあげられているが,ほんとうのことはわかっていない。塩酸やペプシンを分泌する細胞の数が減少して,低酸症hypacidity,さらに進めば無酸症anacidityとなる。胃粘膜の萎縮が進むと,粘膜が腸の細胞に似た細胞に置き換えられることが少なくない。…
※「無酸症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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