デジタル大辞泉 「然然」の意味・読み・例文・類語 しか‐じか【▽然▽然】 《古くは「しかしか」か》[副](「云云」とも書く)繰り返して言わないとき、わかりきったことをいちいち言わないとき、または必要のないことなので省略するときなどに、その代わりに用いる。かようかよう。かくかく。うんぬん。「彼はこれこれ然然の理由で出席できないという」[感]あいづちを打つときに用いる語。そのとおり。そうそう。「―、いと興あることなり」〈大鏡・序〉[類語]斯く斯く・こうこう・これこれ・かよう・こんな・こういう・このよう・かかる・こう・斯く・なに・なにか・なにかしら・なになに さ‐さ【▽然▽然】 [副]《副詞「さ」を重ねた語》しかじか。具体的な叙述を省略するときに用いる。「―の所よりなりけりと聞き給ひて」〈かげろふ・中〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「然然」の意味・読み・例文・類語 そう‐そうさうさう【然然】 [ 1 ] 〘 副詞 〙① 「そう」を重ねて、繰り返し、または継続を表わす。そんなにそんなに。そのようにずっと。[初出の実例]「カイソダツル ヒツジヲ コロイテ イノチヲ ツイダ。Sǒsǒ(サウサウ) スルホドニ、ヤウヤウ ヒツジヲモ コトゴトク クイツクシ」(出典:天草本伊曾保(1593)パストルの事)② ( あとに打消の語を伴って ) それほどに。そんなに。「そんなにいつまでも」「そんなにたびたび」の意で使われることが多い。[初出の実例]「そうそうは見ていられず」(出典:浄瑠璃・生玉心中(1715か)上)「それんばかぢゃ足らないから一円呉れろと云ふんですよ。然(サ)う然うは方図が無いと思って」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二)[ 2 ] 〘 感動詞 〙① 今まで忘れていたことを思い出した時に用いる語。[初出の実例]「待て頂戴よ! たしか、参りました。さうさう、参りましたとも」(出典:めぐりあひ(1888‐89)〈二葉亭四迷訳〉二)② 相手のことばに同意する気持を表わす語。[初出の実例]「知らんと云った事のない先生が、さうさうあすこは実に名文だといった」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一) さ‐さ【然然】 〘 副詞 〙 ( 副詞「さ」の重なったもの )① 同意を表わす。そうそう。さようさよう。[初出の実例]「『これはなににすべき物ぞ』とて見すれば『ささ、これしていとようつかうまつるべかめり』」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)② 具体的な叙述を省略し、内容の存することだけを形式的に指示する。しかじか。[初出の実例]「今はかたちをもことになしてむとてなん、ささのところに月ごろはものせらるる」(出典:蜻蛉日記(974頃)下) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例