デジタル大辞泉
「然」の意味・読み・例文・類語
し‐か【▽然/×爾】
《指示代名詞「し」+接尾語「か」から》
[副]そのように。さように。
「あいなかりける心くらべどもかな、我は―隔つる心もなかりき」〈源・夕顔〉
「生あるもの、死の近き事を知らざる事、牛、既に―なり」〈徒然・九三〉
[感]肯定して相づちをうつときに用いる。そのとおり。そう。
「―、まことに侍り」〈落窪・三〉
そ【▽然】
[副]「そう」の音変化。「そか、分かった」
[感]「そう」の音変化。「そ、良かったね」
ぜん【然】
[接尾]名詞に付いて、そのもののようなようすであるということを表す。「紳士然とした人」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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そうさう【然】
- [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 「さ(然)」の変化した語 )
- ① ( 前の語・文脈などを受けて ) そのように。そのようで。
- [初出の実例]「天道は終れば始まるぞ。寒去れば暖になる様にぞ。人もさうぞ」(出典:両足院本周易抄(1477)四)
- 「身共はあきんどじゃ。そういふてしかとたつまひか」(出典:虎明本狂言・鍋八撥(室町末‐近世初))
- 「『本田は一等上ったと云ふぢゃないか』『然(サ)うださうだ』」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二)
- ② ( 連用修飾語として用いる時、その被修飾語を省略してその意味を含める。たとえば「そう多くは」「そう安くは」の「多く」「安く」などが省略される形 ) そのように…の状態。
- [初出の実例]「『五文にまけろ』〈略〉『〈略〉。盗物では有るまいし、半分殻(から)でもそふは売らない』」(出典:談義本・根無草(1763‐69)三)
- ③ 何かを思い出したり、相手のことばに応答したりする時に感動詞のように用いる。「そう」の指示内容は必ずしも明確に文面に表われない。
- [初出の実例]「『それ、見やしゃったかの〈略〉』『イヤイヤ、さふじゃさふじゃ』」(出典:歌舞伎・幼稚子敵討(1753)六)
- [ 2 ] 〘 感動詞 〙
- ① 相手のことばに対する肯定や問い返し、または半信半疑の気持、感動などを表わす。
- [初出の実例]「詞の返答に、しか也と云心をそうといへり、心、如何。これはそといふを、そうといひなせる也。そはそのの反」(出典:名語記(1275)四)
- 「『アノー先刻此郵便が』『ア、サウ、何処から来たんだ』」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
- ② すぐ前に述べた自分のことばを確かめたりそれから思いついたりする気持ではさむ。
- [初出の実例]「俺がお前に話してるやうなことを、寿平次さんはお里さんに話してるにちがひないよ。さうさな、ずっと古いことは俺にもまあよく分らないが」(出典:夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第二部)
さ【然】
- 〘 副詞 〙
- ① 文脈上または心理的にすでに存する事物、事態を、実際的に指示する語。そのように。そんなに。そう。
- [初出の実例]「いとゐておはしましがたくや侍らんと奏す。みかどなどかさあらん、猶ゐておはしまさんとて」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- 「この折の後見なかめるを、添臥(そひぶし)にも、と催させ給ひければ、さ思したり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
- ② 文脈上または心理的に問題になっていることの、性質や程度を抽象的に指示する語。→さるべし・さほど。
- [初出の実例]「かめをおまへにもていでて、ともかくも言はずなりにければ、つかひのかへりきて、さなんありつると言ひければ」(出典:古今和歌集(905‐914)雑上・八七四・詞書)
然の語誌
( 1 )奈良時代には「しか」が主流で、「さ」は「さて」や「さても」のように複合した形でしかみえない。平安時代に入っても、和歌については「しか」が優勢で、物語などの散文で「さ」が発達してから和歌にも浸透し、一二世紀から一三世紀にかけて用例が激増した。それに対し、「しか」は漢文訓読文や和漢混交文に残るだけとなる。
( 2 )室町時代後期になると「さう」の例が見えはじめ、「さ」で表現すべきところを次第に「さう」で表現するようになる。
( 3 )現代では「そう」を用い、「さ」は「さよう」「さほど」などの複合語として残るのみで、単独では用いない。
し‐か【然・爾】
- 〘 副詞 〙 ( 指示語「し」に接尾語「か」の付いたもの。物をさし示し、感動的意味が伴う )
- ① そのように。そのごとく。さように。かように。
- [初出の実例]「神代より かくにあるらし いにしへも 然(しか)にあれこそ うつせみも 妻を 争ふらしき」(出典:万葉集(8C後)一・一三)
- 「我いほは宮このたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり〈喜撰〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑・九八三)
- ② ( 「しかあり」「しかなり」の形で ) そうである、もっともだ、たしかだ、この通りだ、などの意に用いる。
- [初出の実例]「過に於て既に耳(シカなり)。况や法に依りてをや」(出典:蘇悉地羯羅経延喜九年点(909))
- 「相似たること既に爾(シカ)あり」(出典:法華二十八品略釈延久二年点(1070))
- ③ ( 会話文で、言い切りの形で用いる ) 承諾を示す応答のことばとして感動詞的に用いられる。そう(です)。その通り。
- [初出の実例]「生むこと奈何(いかに)とのりたまへば、伊邪那美の命、然(しか)善けむと答曰(こた)へたまひき」(出典:古事記(712)上)
- 「しか。宮も参り給ふべきよしおほせられき」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)
さわれさはれ【然】
- 〘 副詞 〙 ( 副詞「さ」に、助詞「は」とラ変動詞「あり」の命令形が付いた「さはあれ」が変化したもの ) そうであっても。それはともかく。ままよ。さもあらばあれ。さまれ。さばれ。
- [初出の実例]「つごもりより、なにごこちにかあらん、そこはかとなくいとくるしけれど、さはれとのみおもふ」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
- 「とてもかくても、さはれ、一矢射てこそは、くらはれ侍らめ」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一二)
ぜん【然】
- 〘 接尾語 〙 名詞または形容動詞語幹に付いて、まさにそのもののような状態や様子であることを表わす。
- [初出の実例]「くはんやくの声うばふの美きんきんぜんと悦びて、君がみかりを待がほにそらとぶ鳥も御車に」(出典:浄瑠璃・蝉丸(1693頃)一)
- 「お嬢様然とした風をしてゐるけれども」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二)
そ【然】
- 〘 副詞 〙 そのように。そう。
- [初出の実例]「そでもない事をそであると云て」(出典:四河入海(17C前)九)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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「然」の読み・字形・画数・意味
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