日本歴史地名大系 「焼山寺」の解説
焼山寺
しようさんじ
焼山寺山(九三八メートル)の東側中腹にある。摩盧山と号し、高野山真言宗。本尊は虚空蔵菩薩。正保国絵図などには山上に堂宇が描かれ、焼山寺とみえる。四国霊場八十八ヵ所の第一二番札所。御詠歌は「のちの世をおもへハ恭敬志やうさん寺死出や三途のなん志よありとも」。寺伝では役行者の開創といい、蔵王権現を祀ったとされる。現在も山頂に蔵王権現堂があり、当寺の奥院とされる。その後空海が来山した折、大蛇が火を吹き山を焼いて山中の人々を困惑させていたので、虚空蔵求聞持法を修して大蛇を岩に閉込め、虚空蔵菩薩を刻んで本尊としたと伝える。古くから修験道場として開け、境内の十二所(十二社)とよばれる小堂には熊野曼荼羅の懸仏が祀られている。「義経記」巻三(弁慶山門出る事)に「諸国修行にとて又出でて(中略)阿波の国に付て、焼山、つるが峰を拝みて」とあり、焼山は焼山寺山のことといわれ、古くから山自体が信仰の対象とされていた。「阿波国太龍寺縁起」には空海修行の地として「焼山」がみえている。
正中二年(一三二五)二月日の某袖判下文写(焼山寺文書)に寺名がみえ、
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報