結合水(読み)ケツゴウスイ(その他表記)bound water

デジタル大辞泉 「結合水」の意味・読み・例文・類語

けつごう‐すい〔ケツガフ‐〕【結合水】

自由水に対し、水和など結合状態にある水。生体組織をつくるたんぱく質炭水化物土壌腐植質粘土結晶などの構成分子と結びついている水。

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精選版 日本国語大辞典 「結合水」の意味・読み・例文・類語

けつごう‐すいケツガフ‥【結合水】

  1. 〘 名詞 〙 結晶水土壌水吸着水など、物質と結合状態または水和の状態にある水。老化現象耐寒耐乾性など動植物の生理現象と密接な関係をもち、また土壌などでは腐植質や粘土などの吸着水として、その性質を決定する。通常の液体の自由水に対していう。

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改訂新版 世界大百科事典 「結合水」の意味・わかりやすい解説

結合水 (けつごうすい)
bound water

結晶,水溶液ゲル,生体組織,土壌などの水を含む系において,その成分になんらかの結合をした水を結合水と呼ぶ。結合水に対し,通常の水を自由水free waterと呼ぶことがある。結合水と自由水との定性的な違いは,なんらかの結合という束縛の影響で,結合水のほうが自由水より凍りにくいとか,蒸発しにくい,あるいは乾燥しにくいといった点にある。これは,上記の水を含む系の中の一部または全部の水が結合水となり,通常の水とは異なる物理的・熱力学的性質(構造,圧縮率沸点融点蒸気圧,熱容量など)を示すことによる。たとえば,溶質や成分との水和により,結合水の蒸気圧は自由水の蒸気圧より低下する。また結合水は構造的に自由水とは異なるために,その氷点が降下し,結合水といわれる水分は0℃では凍らなくなる。生体高分子内の結合水は-10~-100℃ぐらいまで氷点が下がることが知られている。結合水には,水和水,結晶水,吸着水,土壌水,親水コロイドに結合した水などが含まれる。
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化学辞典 第2版 「結合水」の解説

結合水
ケツゴウスイ
bound water

生物組織,ゲル,コロイド,あるいは水溶液などの含水系中に存在する水のうち,支持組織,分散質,あるいは溶質などに結合した水.結合水は0 ℃ で凍らない,あるいは溶媒作用を示さない,など通常の水と異なった性質を示すので,各種の方法で結合水量を測定できる.測定法として,塩化コバルト法,氷点降下法,熱量計法,誘電率法,圧縮率法(超音波吸収法),核磁気共鳴吸収法,蒸気圧法,沈降法,あるいは拡散法などが知られている.しかし,結合水の定義が必ずしも厳密ではないので,結合水量は測定法や測定条件によって相当の相違が認められることが多い.結合水の結合形態は,おもに極性基との水素結合と考えられているが,結合は固定したものではなく,一般には,結合水と自由水との間の交換が行われていると考えられる.低温地域の昆虫や植物の耐寒性や,高温・低温地域の植物の耐乾性などは,結合水量の調節に起因していることが指摘されている.しかし,生体における結合水の生理的役割については,いまだ不明の点が多い.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「結合水」の意味・わかりやすい解説

結合水
けつごうすい
bound water

生体、土壌などに含まれる水のなかで、濾過(ろか)や風乾のような簡単な操作では除去できない水をいう。それらの構成分子あるいは結晶と、水素結合以上の強い相互作用で引き付けられている水と考えられている。結晶水や親水コロイドの安定化に寄与する水が例である。鉱物では、粒子間に物理吸着した水も簡単な操作では除去されないことがあり、現象的には結晶水との区別は困難である。なお、結合水に対して、除去が容易で移動が自由な水を自由水という。

[岩本振武]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「結合水」の意味・わかりやすい解説

結合水
けつごうすい
bound water

生体組織に含まれる水の一部は,蛋白質分子,親液コロイド粒子などの成分物質と強く結合しているため,乾燥されにくく,氷点で凍結しない。これを結合水という。自由水と異なり,溶媒としての作用がない。

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栄養・生化学辞典 「結合水」の解説

結合水

 不凍水ともいう.自由水の対語.生体や食品が強く引き付けている水.

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