温度の変化や不均一な温度分布により物体内に生ずる応力。物体は温度変化により膨張または収縮するが、この膨張や収縮が外部的な拘束などにより妨げられると、妨げられた変形量に相当するひずみを受けたことになり、それに応じた応力が物体内部に生ずる。たとえば、鉄の棒の伸縮を完全に拘束して10℃の温度変化を与えると1平方センチメートル当り約2000N(20MPa)の熱応力が発生する。熱応力の大きさは材料の線膨張係数、縦弾性係数に比例する。甚だしい温度変化を受けたり、急速に加熱または冷却されて物体内に大きな温度差を生ずる場合(熱衝撃という)には物体内の熱応力も大きくなり、材料の降伏点を超えて塑性変形を生じたり破壊に至ることもある。また、加熱と冷却とが繰り返される場合には熱応力が繰り返し生ずることになり、疲労による破壊に至ることもある。この現象を熱疲労という。
[林 邦夫・中條祐一]
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…溶接,熱処理などの過程により生じた内部応力も残留応力という。このほか外力の作用なしに発生する応力に熱応力がある。これは物体に温度分布があるとき熱膨張が不均一に生ずることにより発生するものである。…
※「熱応力」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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