牛に対して琴を弾ず(読み)ウシニタイシテコトヲダンズ

デジタル大辞泉 「牛に対して琴を弾ず」の意味・読み・例文・類語

うしたいしてことだん

中国の公明儀が牛の前で琴を弾じ、名曲を聞かせたが、牛は知らぬ顔で草を食っていたという「祖庭事苑」にある故事から》志の低い者や愚かな者に高尚な道理を説いてもわからないことのたとえ。牛に琴を聞かすよう。
[類語]馬耳東風馬の耳に風馬の耳に念仏犬に論語牛に経文兎に祭文ぬかに釘豆腐にかすがい暖簾のれんに腕押し石にきゅう石に針沢庵たくあんのおもしに茶袋汽車の後押し網の目に風とまらず籠で水を汲む屋上おくを架す屋下に屋を架す月夜に提灯ちょうちん闇の夜の錦泥田を棒で打つ竹藪に矢を射るよう死に馬にはり氷にちりば泥裡でいり土塊どかいを洗う権兵衛が種蒔きゃからすがほじくる骨折り損の草臥くたびもう

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「牛に対して琴を弾ず」の意味・わかりやすい解説

牛に対して琴を弾ず
うしにたいしてことをだんず

どのように説き聞かせても効果のないことのたとえ。中国宋(そう)の善郷(ぜんきょう)が撰(せん)した字典『祖庭事苑(そていじえん)』に、魯(ろ)の賢人公明儀がウシの前で琴を弾じ、『清角(せいかく)の操』という名曲を聞かせたが、ウシは知らん顔をして草をはんでいた。ところがカやアブの羽音や子ウシの鳴き声をまねると尾を振って歩き出し、耳をそばだてたりした、とある故事によることばで、志の低い愚人に対して、いかに高尚なことを説き聞かせても、なんの役にもたたないことをいう。

[田所義行]

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