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物象化 ぶっしょうかVersachlichung; Verdinglichung; reification

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

物象化
ぶっしょうか
Versachlichung; Verdinglichung; reification

人間が形成する社会関係やそこに参与する人間主体が,あたかもモノのように立ち現れてくる現象を指す。この現象は一定のメカニズムに媒介された場合,必然的に生じる。たとえば資本主義の商品交換というメカニズムを自明のものとして生きる人々は,お互いを人格的な関係の中に見いだすのではなく,お互いを商品あるいは商品の担い手としてみなすようになる。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶっしょうか【物象化 Versachlichung[ドイツ]】

K.マルクスの後期思想における基本的な概念装置の一つ。〈物化Verdinglichung〉ないし〈物象化〉という概念は,マルクス以後,彼とは独立に,G.ジンメル,H.リッケルト,M.ウェーバーなどにおいても用いられている。マルクスの場合,この概念は,後継者たちにおいて永らく忘れられていたが,G.ルカーチ,わけてもその著《歴史と階級意識》(1923)によって復活され,マルクスの基本的概念装置として有名になった。

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大辞林 第三版の解説

ぶっしょうか【物象化】

人間関係が商品や貨幣の姿をとる事態をさす言葉。マルクスの「資本論」の用語。のちにルカーチがその著「歴史と階級意識」でマルクス主義哲学の中心概念にすえた。日本では広松渉の物象化論がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

物象化
ぶっしょうか
Versachlichungドイツ語

人間の形成する社会関係およびそこに参与する主体が、ある一定のメカニズムを介してあたかもモノのように立ち現れてくる現象を表す用語。一般に、物化Verdinglichung(ドイツ語)ないし物象化とよばれているものは、およそ次の三つのレベルに整理できる。
 (1)人間そのものの物化。これは人間が奴隷商品とか機械体系の一部として繰り込まれているような事態をさす。(2)人間行動の物化。諸個人の自由意志ではどうにもできなくなっている人の流れとか、群集化された人の動きとか、行動様式の習慣的固定化のように、自己の行動が個々の人間ではコントロールできないという意味で物とみられる。(3)人間の能力の物化。人間の精神を物的に定在化させたものとして考えられている芸術作品や、投下労働価値説でいう商品価値などがこれにあたる。
 K・マルクスは『資本論』において、人間と人間の共同的関係が物の性質のように倒錯視されたり、人間と人間との共同的な関係が物と物との関係であるかのように倒錯視される現象を問題にした。人間と人間の関係といっても、それは人間的対象活動における協労関係であり、それがある屈折を経て物の性質や物と物との関係であるかのように仮現する事態をさす。このような事態がなぜ、またはいかにして生ずるかについてを歴史の法則性として把握するのがマルクスの物象化論である。[似田貝香門]
『廣松渉著『物象化論の構図』(1983・岩波書店) ▽K・マルクス著、向坂逸郎訳『資本論』(岩波文庫)』

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世界大百科事典内の物象化の言及

【ヘーゲル】より

…神的なものの流出(プロティノス),父なる神の受肉(三位一体論),イデアの分有・臨在(プラトン),普遍の個における内在(普遍論争)という伝統的な諸類型に対して,ヘーゲルはつねに有機的・生動的媒介を説く。そこには,個人が自己を放棄して普遍を支えるという普遍と個との疎外による媒介,社会的関係を個体化・実体化した観念的な幻想が社会的に妥当する結果,観念性が社会的現実性の構成要素になるという物象化論による媒介という,〈普遍問題〉に対する社会的アプローチも見られ,マルクスの《資本論》に強い影響を与える。 ヘーゲル哲学は,絶対的に自立的な真理の体系的な自己展開を確立して,デカルト以来の哲学理念に完成した表現を与えた。…

※「物象化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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