物頭(読み)モノガシラ

デジタル大辞泉 「物頭」の意味・読み・例文・類語

もの‐がしら【物頭】

頭だつ役。長。かしら。
「お家のおきてを知らずんば、なぜ―には伺はぬ」〈浄・反魂香
武頭ぶがしら」に同じ。
「よき―をまことに幾人も申しつけ」〈甲陽軍鑑三七
能楽で、頭にいただくかぶり物。かしら。
「―をほんにして働けば、面白き便りあり」〈花伝・二〉

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精選版 日本国語大辞典 「物頭」の意味・読み・例文・類語

もの‐がしら【物頭】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 武家時代、弓組・鉄砲組などの長。足軽頭・同心頭の類。武頭(ぶがしら)。物頭役。足軽大将。
    1. [初出の実例]「ものがしらに馬あひつけ、鏑のとほなりさせざるが、無念なり」(出典:曾我物語(南北朝頃)一)
  3. 一般に、物事の長。頭だつ役。武家では家老など、町家・村方では名主庄屋などをいう。首領。かしら。
    1. [初出の実例]「今朝いはふ雑煮の芋や物がしら〈長之〉」(出典:俳諧・小町踊(1665)春)
  4. 能楽で、頭にいただくかぶり物。頭(かしら)
    1. [初出の実例]「物がしらを本にして働けば、面白き便りあり」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)二)

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改訂新版 世界大百科事典 「物頭」の意味・わかりやすい解説

物頭 (ものがしら)

戦国・江戸時代の武家の職名あるいは格式の一つ。一般に歩兵の足軽,同心などからなる槍(長柄(ながえ))組,弓組,鉄砲組などの頭(足軽大将)をいう。侍組(騎兵)の頭(侍大将)である番頭(ばんがしら)につぐ地位にあった。江戸幕府の新番頭,小十人(こじゆうにん)頭,徒士(かち)頭,百人組之頭,先手(さきて)頭などはいずれも布衣(ほい)の格であり,諸藩の物頭にあたる。このうち新番組は騎兵(本来の侍),小十人組・徒士組は歩兵(本来の足軽),百人組は鉄砲隊与力,同心),先手組は弓・鉄砲の両隊(与力,同心)であった。
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