特別定額給付金(読み)とくべつていがくきゅうふきん

共同通信ニュース用語解説 「特別定額給付金」の解説

特別定額給付金

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて政府が昨年4月に決定した緊急経済対策の柱の一つ。家計支援を目的として国民に1人10万円の現金を配った。総事業費は12兆8803億円。5月から配布が本格化し、9月にはほぼ終了した。2008年のリーマン・ショック後にも「定額給付金」として1人当たり1万2千円(65歳以上と18歳以下は8千円上乗せ)の現金を給付したことがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「特別定額給付金」の意味・わかりやすい解説

特別定額給付金
とくべつていがくきゅうふきん

新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)対策として、2020年(令和2)に全国民に1人一律10万円を配った給付金。国民への直接現金支給direct payment。緊急コロナ対策の柱の一つとして家計支援目的で給付された。対象住民基本台帳(2020年4月27日時点)に載っている全国民。住民登録された外国人(在留期間3か月超)を含むが、海外に住む日本人(海外への転出届提出済み)は対象外。ホームレスの人なども住民登録した市区町村で申請が可能。各市区町村から、全世帯に世帯全員の氏名を印字した申請書が郵送され、これを基に、郵送かオンラインのいずれかで申請。郵送の場合、申請書に代表者が世帯主名義の口座番号を記入し、本人確認書類とともに返送すると世帯分が一括で振り込まれた。マイナンバーカード保有者は本人確認書類などを返送する必要はなく、オンラインでの申請も可能だった。口座がない人も窓口で本人確認ができれば受け取れた。給付金が不要な人は申請不要。ドメスティック・バイオレンス被害者らには、世帯主に住所等が知られないような仕組みを導入した。給付金は非課税。給付の実施主体は総務省と各市区町村で、政府は2020年度補正予算で総額12兆8802億円(事務費1458億円)を計上した。2020年5月から手続を開始したが、人口の少ない小規模自治体の給付が先行し、都市部では8月以降にずれ込んだ自治体もあった。

 新型コロナウイルス感染症対策の国民への直接支給としては、アメリカ(年収7.5万ドル以下の成人1人最大1200ドル、子供に500ドル)、香港(ホンコン)(成人1人1万香港ドル)、シンガポール(21歳以上の全国民に所得に応じて600~1200シンガポールドル)、韓国(全国民に4人世帯で100万ウォン)などで実施された。日本ではほかに、リーマン・ショック後の2009年(平成21)の「定額給付金」(1人1万2000円、65歳以上と18歳以下は8000円上乗せ)、消費税率を3%から5%へ引き上げた1999年(平成11)の「地域振興券」(1人2万円、15歳以下の子供や低所得高齢者世帯が対象)、2015年の消費増税時(5%→8%)の「プレミアム商品券」(全国民が対象、額面以上の買い物が可能)、2019年の消費増税時(8%→10%)の「プレミアム商品券」(1人2万円、上乗せ補助額5000円、子育て世帯と住民税非課税世帯に限定)などがある。

[矢野 武 2021年4月16日]

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