特定化学物質(読み)トクテイカガクブッシツ

デジタル大辞泉 「特定化学物質」の意味・読み・例文・類語

とくてい‐かがくぶっしつ〔‐クワガクブツシツ〕【特定化学物質】

労働安全衛生法によって規定された、労働者体内に取り込むと健康障害を起こす可能性が高い化学物質。この物質を取り扱う事業者特定化学物質障害予防規則により、さまざまな規制が定められている。このうち微量暴露がんを引き起こす物質は特別管理物質として、より厳しい管理が求められる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「特定化学物質」の意味・わかりやすい解説

特定化学物質
とくていかがくぶっしつ

労働安全衛生法に基づき,有害性が認められる化学物質により労働者に健康障害が生じるのを防ぐことを目的に,労働安全衛生法施行令の別表第三に掲げられた物質。対象物質は,障害を引き起こす曝露量や管理の程度などによって 3類に分けられ,第1類物質はなど慢性障害を引き起こす物質のうち,特に有害性が高く,製造工程で特に厳重な管理(製造許可)を必要とするもの,第2類物質は癌など慢性障害を引き起こす物質のうち第1類に該当しないもの,第3類物質は大量漏洩により急性中毒を引き起こすものとされる。第1類物質としてα-ナフチルアミン(→ナフチルアミン),ポリ塩素化ビフェニル PCBなどが,第2類物質としてエチレンオキシドコールタール硫化水素など,第3類物質としてアンモニア一酸化炭素などが指定されている。なお,第1類,第2類物質のうち癌を誘発する性質(癌原性)があり(疑いのあるものも含む),特に規制を必要とするものを,特別管理物質として位置づけている。特定化学物質の製造や取り扱いに関しては,発散抑制・漏洩防止措置,一定資格を有する者による労働指導や監視,定期的な作業環境測定,定期的な健康診断実施などが事業者に義務づけられている。

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