俳諧撰集。松江重頼(しげより)編。1633年(寛永10)刊。江戸初期の俳諧の隆盛に対応し,天文年間(1532-55)以降の作品を集めた撰集。書名は《犬筑波(いぬつくば)集》の子になぞらえたもの。読人不知と178人の作者の発句(ほつく)1654句,付句(つけく)1000組を,5冊17巻に収める。主な作者は貞徳,重頼,親重(立圃(りゆうほ)),徳元,慶友ら。作風は縁語・掛詞による〈見立て〉や故事・古典の立入(たちいれ)が主である。初め,重頼・親重共編のかたちで作業が進められたが,途中等類(とうるい)・非等類の判別など入集句の選定をめぐって意見が対立,親重は手を引いて別にその増訂版《誹諧発句帳》を刊行,俳壇確執史の劈頭を飾ることになった。
執筆者:乾 裕幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
俳諧撰集(はいかいせんしゅう)。17巻5冊。重頼(しげより)編。1633年(寛永10)刊。近世最初の俳諧撰集。初め親重(ちかしげ)、重頼の2人が貞徳(ていとく)の指導のもとに編纂(へんさん)に着手したが、編者間に意見の対立が生じ、重頼が1人で刊行した。巻1~6に発句、巻7~15に付句、巻16以下に魚鳥(ぎょちょう)俳諧ほか、第5冊に貫之(つらゆき)らの「上古誹諧」(『菟玖波集(つくばしゅう)』からの抜粋)を収め、俳諧の伝統と権威を誇るとともに、新しい時代の文芸である俳諧のもつエネルギーを遺憾なく爆発させている。以後俳諧は急速に流行する。
[加藤定彦]
『中村俊定著「貞門俳諧史」(『俳句講座1 俳諧史』所収・1959・明治書院)』▽『中村俊定・森川昭校注『古典俳文学大系1 貞門俳諧集 1』(1970・集英社)』
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…1633年(寛永10)刊。《犬子(えのこ)集》編集中,異なる俳系に属して,準拠する法式も違った共編者重頼と意見が対立して決別,重頼に奪われた同集に対抗し,刊行した発句集。《犬子集》の本文を切り継ぎ,句数を増補して新味を出し,句形や作者名を修正して,暗に《犬子集》のずさんさを批判している。…
※「犬子集」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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