守武千句(読み)モリタケセンク

デジタル大辞泉 「守武千句」の意味・読み・例文・類語

もりたけせんく【守武千句】

俳諧集。1冊。荒木田守武著。天文9年(1540)成立。慶安5年(1652)刊。伊勢大神宮に奉納した独吟千句を集めたもので、俳諧式目基準ともなった。誹諧之連歌独吟千句。飛梅千句。

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精選版 日本国語大辞典 「守武千句」の意味・読み・例文・類語

もりたけせんく【守武千句】

  1. 室町後期の俳諧集。一冊。荒木田守武が天文九年(一五四〇)伊勢大神宮に奉納した独吟千句。「飛梅千句」「俳諧之連歌独吟千句」ともいわれ、従来の二句連歌の言捨俳諧を千句という正式な連歌形式に詠み、俳諧式目の基礎を築いたものとして高く評価されている。慶安五年(一六五二)刊。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「守武千句」の意味・わかりやすい解説

守武千句
もりたけせんく

守武の俳諧(はいかい)連句集。1652年(慶安5)刊。1536年(天文5)正月に独吟の俳諧千句を立願したが、史上初の試みなので挫折(ざせつ)したままになっていた。4年後ふたたび挑戦、大神宮法楽(ほうらく)の俳諧としてついに完成させたもの。巻頭第一の発句は「とび梅やかろがろしくも神の春」。追加五十韻と自跋(じばつ)を付す。作風詞付(ことばづけ)、それも前句付(まえくづけ)風の付け方が目だつ。無心所着体(むしんしょじゃくたい)(意味不明の句作り)の句を導入することにより荒唐無稽(こうとうむけい)な笑いの世界をつくりだしている。跋も俳論として貴重。

[加藤定彦]

『中村俊定・森川昭校注『古典俳文学大系1 貞門俳諧集 一』(1970・集英社)』『大谷篤蔵解題『守武千句草案』『守武独吟千句』(『天理図書館善本叢書22 古俳諧集』所収・1974・八木書店)』『飯田正一編『守武千句注』(1977・古川書房)』


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改訂新版 世界大百科事典 「守武千句」の意味・わかりやすい解説

守武千句 (もりたけせんく)

俳諧集。荒木田守武著。1冊。1536年(天文5)起草,40年成稿。《誹諧之連歌独吟千句》ともいい,冒頭の〈飛梅やかろがろしくも神の春〉により《飛梅千句(とびうめせんく)》ともいう。数年にわたる推敲を経た入魂の作で,それまで詠捨ての座興であった俳諧に千句という正式の形を与えたことにより,俳諧のジャンル確立に貢献。宗鑑の《犬筑波集》と並称される。跋文は当時の一流連歌師の俳諧への嗜好を生き生きと伝える。後世,ことに談林俳諧への影響が大きい。
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