守武の俳諧(はいかい)連句集。1652年(慶安5)刊。1536年(天文5)正月に独吟の俳諧千句を立願したが、史上初の試みなので挫折(ざせつ)したままになっていた。4年後ふたたび挑戦、大神宮法楽(ほうらく)の俳諧としてついに完成させたもの。巻頭第一の発句は「とび梅やかろがろしくも神の春」。追加五十韻と自跋(じばつ)を付す。作風は詞付(ことばづけ)、それも前句付(まえくづけ)風の付け方が目だつ。無心所着体(むしんしょじゃくたい)(意味不明の句作り)の句を導入することにより荒唐無稽(こうとうむけい)な笑いの世界をつくりだしている。跋も俳論として貴重。
[加藤定彦]
『中村俊定・森川昭校注『古典俳文学大系1 貞門俳諧集 一』(1970・集英社)』▽『大谷篤蔵解題『守武千句草案』『守武独吟千句』(『天理図書館善本叢書22 古俳諧集』所収・1974・八木書店)』▽『飯田正一編『守武千句注』(1977・古川書房)』
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報