犬走り(読み)いぬばしり(英語表記)berm

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

建築用語。 (1) 道沿いに連続させて築いた路肩。 (2) 江戸町屋正面に設けたひさし下の空間。通行人の通り抜けができる公有地として道幅に含まれた。 (3) 建物まわりや軒下などの建ち上がり部分を保護するために石,砂利煉瓦漆喰コンクリートで敷き固めたもの。 (4) 城塀や築地塀に沿って,法面下端との間に設けた平らな部分。 (5) 連続する長い斜面を区切るために築堤状に設けられた狭い棚もしくはテラス部分。

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デジタル大辞泉の解説

《犬が通れるほどの空間の意》築地(ついじ)や城の垣などと溝・堀との間に設けられた通路状の空き地。
建物の外壁面を保護するために、その周りの地盤をコンクリートや砂利で固めた所。
堤防・護岸などの斜面の下の、側溝との間の狭い平らな所。土砂の流入を防ぐ。
小走りに走ること。
「一時(ひととき)三里―日暮れまでにはもどってくる」〈浄・歌祭文

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百科事典マイペディアの解説

犬行(いぬゆき)とも。築地(ついじ)の外のと築地との間の平地。その幅の広いものを【ぜん】地(ぜんち)といい,平安京大内裏の築地外の【ぜん】地は約8m,犬走りは0.9〜4.5mであった。城の石垣の間の空地,一般構造物の外壁に沿った地盤にコンクリートや砂利敷をしたところをいう場合もある。

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大辞林 第三版の解説

築地ついじの外側の、壁と溝との間に設けられた狭い地面。
城郭の石垣または土塁の外側、堀との間に帯状に残された平面。また、塁の中腹に設けられた細長い階段。
建物の軒下など、外壁に沿った周囲の地面を砂利やコンクリート敷きにして固めた部分。小段。
小股にちょこちょこ走ること。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

建築用語。犬の通いうるほどの空間の意であるが、転じて、建物の周囲に数十センチメートル程度の幅で巡らす通路状の舗床のことをいう。建物の足元が泥の跳ね返りなどで汚れるのを防ぐために設けられる。建物との調和を考慮して、たたき、モルタル塗り、石敷き、れんが敷き、瓦(かわら)敷き、砂利敷きなどが選ばれる。また、堤防、護岸壁などの法尻(のりじり)(法面(のりめん)と水平面との交線)と側溝との間に挟まれた部分のことも犬走りという。降雨の際、法面(傾斜面)の土が流れ落ちて側溝に流入するのを防ぐために設けられる。[山田幸一]

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世界大百科事典内の犬走りの言及

【鉱山】より

…また,これらが風化して有機土壌質にまで変化するには,きわめて長い期間が必要である。そのため残壁面には,大量の植生土が埋置できるように何段かのベンチ(犬走りともいう)を設け,ここに苗木を植栽したり,ベンチ下の傾斜岩盤部には草本類の種子,肥料,および接着剤の混合物を吹き付け,露出面を被覆するなどの技術的,財政的に困難な作業が伴う。また植生木の根張りによる植栽ベンチの崩壊や,植生の立枯れなども考えられるので,植栽木の種類の選定には十分な検討が必要である。…

【堤防】より

… 堤防の高さは,改修計画に基づいた洪水時の川の水位(計画高水位という)に余裕高を加え,さらに将来の堤体や地盤の沈下などに備えた余盛りを加えた高さとするのがふつうである。その標準的な断面は,ある幅をもった天端(てんば)(堤防の最上面)の両端(法肩)から前後に傾斜をつけ,その斜面(表法,裏法という)が長いときは斜面の途中で表小段(こだん),裏小段を設け,また堤内(人家などのあるほう)側にはさらに犬走りと称する幅の狭い段を設ける(図2)。【中沢 弌仁】。…

【土居】より

…土居の勾配は,近世の軍学では,敲土居は高さ3間に敷(基底部)3間,つまり45度の傾斜,芝土居は敷2間,つまり60度の傾斜を定法としたが,山城で地山を削り残した土居の場合は,これより急勾配のものがある。土居の頂の平面を馬踏(まふみ)といい,塀や柵を設けた場合,その内側を武者走り,外側を犬走りという。屋敷や居館まわりの土居には竹を植えて崩れ止めや目かくしとすることが多く,近世の絵図等では土居藪,土手藪と記され,土居が崩れていても残存する藪から土居の線を復原できることがある。…

※「犬走り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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