猪目洞窟遺跡(読み)いのめどうくついせき

精選版 日本国語大辞典 「猪目洞窟遺跡」の意味・読み・例文・類語

いのめ‐どうくついせきゐのめドウクツヰセキ【猪目洞窟遺跡】

  1. 島根県出雲市猪目町にある彌生から古墳時代にかけての海食洞窟遺跡。「出雲国風土記」にある「宇賀の郷の北の海辺黄泉(よみ)の穴がある」がこれと推定される。

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日本歴史地名大系 「猪目洞窟遺跡」の解説

猪目洞窟遺跡
いのめどうくついせき

[現在地名]平田市猪目町

猪目町の西部、出雲大社背後の山を越えた日本海岸にある海食洞窟遺跡。昭和二三年(一九四八)漁港改築の際多くの遺物が発見され、大社考古学会が調査を行っている。国指定史跡。洞窟は小さい湾に面した岸壁に波の浸食を受けてできたもので、間口の幅約三〇メートル、最大高さ約一二メートル、奥行は約三〇メートル以上。遺物は間口付近に堆積した厚い土砂や礫の層から見つかり、食物の滓や灰などのほか人骨も十数体掘出されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「猪目洞窟遺跡」の意味・わかりやすい解説

猪目洞窟遺跡
いのめどうくついせき

島根県、島根半島北西部日御碕(ひのみさき)東方約7キロメートル、出雲(いずも)市猪目町の小入り江、西側断崖(だんがい)下に所在の凝灰岩を海食した洞窟遺跡。1948年(昭和23)11月、猪目の漁港修築工事に伴い、同洞窟内の土砂を採掘中、多数の人骨、土器などが発見された。同月下旬、酒詰仲男(さかづめなかお)、池田次郎、大谷従二、大国一雄らにより緊急調査が行われ、成果は49年9月刊の『人類学雑誌』に池田らにより「出雲(いずも)国猪目洞穴遺跡概報」として発表されている。古墳時代の特殊な遺跡で、人骨は成人12体以上、小児1体が埋葬され、土師器(はじき)、須恵器(すえき)などの土器類のほか、貝輪6、鉄製品、釣り針、釘(くぎ)などが出土。また木製品として短弓、盾、下駄(げた)、コップ状容器、木椀(もくわん)、箸(はし)、独木舟(まるきぶね)破片など、古墳時代の木製品を知るうえに貴重な発見があった。57年国史跡に指定。出土遺物は県指定文化財。

[江坂輝彌]

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