朝日日本歴史人物事典 「琳賢」の解説
琳賢
室町後期の画家。琳賢坊有勝と称す。興福寺大乗院に所属する絵所・吐田座の絵師であったが,江戸時代には同寺一乗院所属の芝座の絵師と誤解され,芝法眼と呼ばれた。天文年間(1532~55)を中心に東大寺や興福寺,春日大社などで,画像の制作,彫像や建築物などの彩色に活躍した。天文5(1536)年,20巻本の「東大寺縁起」を3巻に要約した「大仏縁起絵巻」(東大寺蔵)を描き,15年に「天川弁才天曼荼羅図」(奈良能満院蔵)を描き,22年には春日大社の造替(改築)にともなう社殿の彩色に従事したことなどが知られている。<参考文献>河原由雄「南都絵所のゆくえ」(『奈良県史』15巻)
(救仁郷秀明)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報