瓢箪鯰(読み)ヒョウタンナマズ

デジタル大辞泉 「瓢箪鯰」の意味・読み・例文・類語

ひょうたんなまず【瓢箪鯰】[歌舞伎舞踊]

歌舞伎舞踊長唄常磐津ときわずの掛け合い。七変化拙筆力七以呂波にじりがきななついろは」の一。2世瀬川如皐作詞、10世杵屋六左衛門ら作曲。文政11年(1828)江戸中村座初演。瓢箪で鯰を押さえようとする大津絵絵柄を舞踊化したもの。

ひょうたん‐なまず〔ヘウタンなまづ〕【×××鯰】

《「瓢箪で鯰を押さえる」から》とらえどころのないようす。要領を得ないようす。また、そのような人。
[補説]歌舞伎舞踊別項。→瓢箪鯰

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精選版 日本国語大辞典 「瓢箪鯰」の意味・読み・例文・類語

ひょうたん‐なまずヘウタンなまづ【瓢箪鯰】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 「瓢箪で鯰を押える」から ) ぬらぬらしてなかなかつかまえることのできないこと。転じて、ぬらりくらりとして要領を得ないさま。
    1. [初出の実例]「貴君もちと真面目におなんなさいまし、今日こそは瓢箪鯰(ヘウタンナマヅ)ぢゃ困るんですからね」(出典:己が罪(1899‐1900)〈菊池幽芳〉前)
  2. [ 2 ] 歌舞伎所作事。長唄・常磐津。二世瀬川如皐(じょこう)作詞。一〇世杵屋(きねや)六左衛門作曲。文政一一年(一八二八)江戸中村座初演。四世中村歌右衛門の七変化舞踊「拙筆力七以呂波(にじりがきななついろは)」の一つ。襦袢(じゅばん)一枚の男が瓢箪で鯰を捕えようとする大津絵の絵柄を舞踊化したもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「瓢箪鯰」の意味・わかりやすい解説

瓢簞鯰 (ひょうたんなまず)

歌舞伎舞踊の曲名。長唄。常磐津。1828年(文政11)3月江戸中村座初演。七変化所作事《拙筆力七以呂波(にじりがきななついろは)》の一曲。演者は2世中村芝翫(4世中村歌右衛門)。作詞2世瀬川如皐(じよこう)。作曲10世杵屋(きねや)六左衛門,3世岸沢式佐。振付4世西川扇蔵,藤間大助ほか。じゅばん一枚の男が瓢簞で鯰を押さえようとする大津絵から題材をとった作品。しゃれのめした新内風のクドキを語ったり,ひょうきんで陽気な踊りである。
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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「瓢箪鯰」の解説

瓢箪鯰
(通称)
ひょうたんなまず

歌舞伎・浄瑠璃外題
元の外題
拙筆力七以呂波
初演
文政11.3(江戸・中村座)

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世界大百科事典(旧版)内の瓢箪鯰の言及

【ナマズ(鯰)】より

…地震や天候変化に敏感なため,地震を起こす力があるとか,地震の予知能力があるなどという伝承がある。安政の地震の際にはナマズがさわいだという記録があり,これをおさえているのが常陸鹿島神宮の要石(かなめいし)であるともいわれているが,ナマズを瓢簞でおさえること,つまり粘りがあるものを丸いものでおさえることの困難さを諷した〈瓢簞鯰〉から転じて,安定させることの困難なものとして地震が考えられ,それを生物化したものとして地震の発生をナマズに付会したとも考えられる。近世末の社会的動揺と江戸人のしゃれとが合体して生まれたものとみるべきであろう。…

※「瓢箪鯰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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