瓦子(読み)がし

精選版 日本国語大辞典 「瓦子」の意味・読み・例文・類語

が‐し グヮ‥【瓦子】

〘名〙 価値のないもの。
空華日用工夫略集‐応安三年(1370)正月九日「瓦子大小軽重」

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普及版 字通 「瓦子」の読み・字形・画数・意味

【瓦子】が(ぐわ)し

かわら。〔南部新書、戊〕西京壽安縣に石山り。祠頗(すこ)ぶる靈なり。中、に兩瓦子り。客之れを投じて以て休咎(きうきう)(吉凶)を卜す。仰ぐを吉と爲し、(おほ)ふを凶と爲す。

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改訂新版 世界大百科事典 「瓦子」の意味・わかりやすい解説

瓦子 (がし)
Wǎ zi

中国,宋・元時代の都市に発達した盛り場瓦市瓦舎ともいう。そこには酒楼茶店劇場寄席妓楼商店などが棟をならべ,市民の娯楽センターであった。このような盛り場が都市のなかにいくつも生まれたことは,市内商店の夜間営業が一般化したこととともに,それまでの閉鎖的な政治都市が開放的な商業都市へと脱皮したことを最も特徴的に示す現象であった。南宋ではその都の臨安(今の杭州)に17ヵ所もの瓦子があり,ここでの放蕩で身をもちくずす者も多かった(《夢粱録》巻十九)ほどの歓楽の場所であった。ただ,なぜ瓦子とか瓦市と呼ばれたのかは,明らかでない。その区域が瓦で舗装されていたからという説もあるが,しかし瓦舎とも呼ばれるからには,その地区の建物がすべて瓦葺きであったからとも考えられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「瓦子」の意味・わかりやすい解説

瓦子
がし

中国の宋(そう)代に都市の繁華街一角で、演劇、歌謡、影絵、講釈、手品相撲、芸者屋、酒場、料理屋、屋台などが密集した庶民の娯楽場。有名なのは南宋の都の臨安(りんあん)(杭州(こうしゅう))で、城の内外に20余りあった。唐や北宋でも市場や大道、寺院境内で行われ、貴人の邸宅でもこうした娯楽はあったが、都市の隆盛にあわせて発達し、宋・金(きん)・元(げん)ごろから台頭した小説、雑劇、院本(いんぽん)、曲(きょく)など庶民文芸のジャンルを生み出すきっかけとなった。

[斯波義信]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「瓦子」の意味・わかりやすい解説

瓦子
がし
wa-zi; wa-tžu

中国の都市にみられた客の雑踏する盛り場をさす。瓦舎,瓦肆,瓦ともいう。宋代に初めて現れ,酒楼,茶館,妓館,勾欄 (こうらん。芝居小屋) ,薬屋,本屋,衣店,飲食店,娯楽場などが入り乱れて軒を連ねていた。北宋の都開封には,東角楼街巷に桑家瓦子,中瓦子,裏瓦子,朱雀門外街巷に新門瓦子,潘楼東街巷に朱家橋瓦子,その他州西瓦子,保康門瓦子,州北瓦子があった。東角楼街巷の三瓦子には大小五十余座の勾欄があり,大は数千人を収容したという。瓦子の繁栄は宋代庶民生活の向上を示している。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「瓦子」の解説

瓦子(がし)

宋代の都市にある庶民の娯楽センター。寄席,劇場が集まり,その近辺には食堂,喫茶店がたちならんだ。

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