甲比丹(読み)カピタン

デジタル大辞泉 「甲比丹」の意味・読み・例文・類語

カピタン【甲比丹/甲必丹】

江戸時代長崎オランダ商館館長の称。
江戸時代、日本にやって来たヨーロッパ船の船長
縦糸色糸横糸白糸を用いた縞の絹織物1が将来したもの。
[補説]英語キャプテン(captain)と同語源。

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精選版 日本国語大辞典 「甲比丹」の意味・読み・例文・類語

カピタン【甲比丹】

  1. 〘 名詞 〙 ( [ポルトガル語] capitão )
  2. 江戸時代、長崎の出島にあったオランダ商館の館長。
    1. [初出の実例]「かびたんもつくばはせけり君が春〈芭蕉〉」(出典:俳諧・江戸通り町(1678)春)
  3. 江戸時代に日本にやってきたヨーロッパの船の船長。
    1. [初出の実例]「あのかびたんめ茶屋のそうびやうゑ、誓文あき風か」(出典:歌謡・若みどり(1706)四・むらた)
  4. 織物一種。元来はが持ってきたもの。現在では、山形県米沢地方で作られる。カピタン織。
    1. [初出の実例]「木綿(きわた)中入、上にかびたんの玉子色なるをひっかへしに、黒糸のぬいもん」(出典浮世草子好色二代男(1684)一)

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百科事典マイペディア 「甲比丹」の意味・わかりやすい解説

甲比丹(織物)【カピタン】

絹織物の一種で,異国的な色合をもつ縞(しま)織物。本来は室町末期の南蛮渡来の縞織物で,甲比丹縞と呼ばれた。これを模して京都西陣でつくられ,のち八王子,足利などでも昭和初期までつくられた。繻子(しゅす)織,紋織や,緯糸(よこいと)に化繊を用いた交織などがあり,甲比丹御召,甲比丹銘仙などと称した。
→関連項目オランダ商館

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旺文社日本史事典 三訂版 「甲比丹」の解説

甲比丹
カピタン

江戸時代のオランダ商館長のこと
ポルトガル語のcapitão(長)による。鎖国以前は,ポルトガルやイギリスの商館長も指した。多く1年交代で来任し,1633〜1850年までほぼ毎年江戸参府を行い,将軍に謁見。またオランダ船の入港ごとに『オランダ風説書』を幕府に提出した。

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世界大百科事典(旧版)内の甲比丹の言及

【カピタン】より

…ポルトガル語で長をさし,甲必丹,甲比丹の字を当てる。江戸時代,マカオ~長崎間のポルトガル貿易に最高の権限を持ち,マカオ滞在中は同地の最高の行政官,長崎ではポルトガル人の代表を務めたのがカピタン・モーロcapitaõ‐morである。…

※「甲比丹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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