異なる繊維からつくった一種、あるいはそれ以上の糸を、経糸(たていと)あるいは緯糸(よこいと)として用いて製織すること、またはその交織した織物の略称。交織は、主なる構成糸に対して、品質などが同じでかわるべき代用繊維が現れたとき、経済的理由から、経あるいは緯糸のいずれかを用いる場合と、もう一つは、それぞれの繊維がもつ欠点を交織によりカバーするか、あるいは繊維の性能を交織することにより、さらに伸ばす場合とがある。交織の方法は、糸の重量比、または本数の割合による交織率の違いにより織物の品質が変化するし、また経緯糸の中に部分的に異種の糸を縞(しま)のように配合して織ったものは、一つの効果をもたらすことになる。古くは、綿と絹、綿と毛、絹と麻、麻と毛、絹と毛など、天然繊維相互間の交織が盛んであったが、化合繊の出現により、天然繊維と化合繊の交織が行われ、また化合繊相互間の交織もみられる。
日本では、綿織物の一部に、「糸入(いといり)」として縞のように絹糸を織り込む糸入双子(ふたこ)、糸入綿結城(めんゆうき)などがあり、絹綿交織が主であったが、人絹・スフの発達とともに代用繊維として絹の分野へ進出をみ、さらに合繊の発明により促進された。そのおもな交織織物には次のようなものがあげられる。絹では、羽二重(はぶたえ)の緯糸に無撚(むよ)りの人絹やナイロンを打ち込んだ人絹緯羽二重、ナイロン交織羽二重があり、交織朱子(しゅす)には、緯糸に綿・スフ・人絹糸を織り込んだものがある。また人絹は絹織物の代用として使われ、人絹タフタ、人絹デシン、人絹お召などの交織織物がある。また毛織物では、交織するときには経に綿糸、緯に毛糸を用いるのが普通で、たとえば裏地用のアルパカは、経に綿糸、緯にアルパカ糸または梳毛糸(そもうし)を使っている。また、経に絹糸、緯に梳毛糸を使い、感触・外観ともに絹の感じを加えた毛織物にシルクウールがあり、着尺地によく使われている。
[角山幸洋]
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…経糸,緯糸の一部または全部に,異種の繊維で作った糸2種以上をまぜて織った織物をいう。絹毛交織物,絹綿交織物,綿毛交織物,綿麻交織物などのほかに,近年は化合繊糸との交織が多くなっている。複数の異繊維を用いて作った糸,すなわち混紡糸を用いて織った織物を,混紡織物といい区別するが,混紡糸と他の繊維の糸との交織もある。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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