日本大百科全書(ニッポニカ) 「畜産加工品」の意味・わかりやすい解説
畜産加工品
ちくさんかこうひん
食肉や乳、卵類の加工品。肉類加工品のもっとも古いものは、塩漬け、乾燥品と思われ、薫煙(くんえん)品が加わり、また缶詰の発見とともに、さらに加工品が多くなった。食肉製品としては、乾燥肉、塩漬け肉、ハム、ソーセージ、ベーコン、焼き豚、食肉缶詰などがあげられる。ハム、ソーセージは、主として牧畜民の間で自然に発生したものがしだいに工業化されていったもので、非常に多くの種類がある。缶詰では、水煮、味付け、コンビーフ、ソーセージ、ハムなどのほか、シチューのように調理したものもある。ボツリヌス菌中毒がおこりやすいため、肉の加工保存品には、殺菌のほか、塩分や、硝酸塩、亜硝酸塩なども使用される。乳類ではバター、発酵乳、チーズなどが歴史的に早くからつくられてきた。
乳製品としては、バター、チーズ、脱脂粉乳や育児用調整粉乳などの粉乳、ヨーグルトなどの発酵乳や乳酸菌飲料、コンデンスミルク、エバミルクなどの練乳、アイスクリーム類などのほか、カゼインなどの工業用品もつくられている。卵製品には液卵、凍結卵、乾燥卵、濃縮卵などの一次加工品と、マヨネーズ、ピータン、薫煙卵、ゆで卵製品(味つけゆで卵、業務用に円筒状に形成したロングエッグなど)などの二次加工品がある。
[河野友美・山口米子]
『菅原龍幸編、倉沢新一・古賀民穂・長谷川孝子・土居則子・小川嘉著『食品加工実習書』新版(1999・建帛社)』