コンビーフ(読み)こんびーふ(英語表記)corned beef

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンビーフ」の意味・わかりやすい解説

コンビーフ
こんびーふ
corned beef

牛肉の塩蔵加工品の一種。この名称は、17世紀ごろまでは粒状(コーン)の粗塩を用いて塩蔵したので、コンビーフ(塩蔵肉)の名が生まれたという。製法は、牛肉の脂肪の少ない部分から骨、腱(けん)、余分の脂肪、大きな血管などを除き、3%の食塩と0.1%の硝石などの発色剤、調味料、香辛料などを加えて数日間低温で塩蔵し、115℃で100分間ほど蒸し煮し、温かいうちに肉の繊維をほぐし、通常は食用油脂、調味料、香辛料で調味して缶詰瓶詰にする。ほぐさずに塊のまま製品にするものもある。日本では、牛肉以外に馬肉、豚肉、羊肉なども使われ、食肉塩漬(えんせき)し、煮熟(しゃじゅく)して詰めたもの全体を「コーンドミート」、そのなかで牛肉のみを使用したものを「コンビーフ」という。牛肉と馬肉を使用したものは、以前はニューコンビーフと表示することができたが、2006年(平成18)にJAS(ジャス)(日本農林規格)により「ニューコンミート」または「ニューコーンドミート」の品名に改正された。

 コンビーフは、脂肪分が多く、適度の塩味があるので、煮込み物、サラダ、炒(いた)め物など、各種の料理に肉を加えるとともに、調味材として利用することができる。

河野友美・山口米子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンビーフ」の意味・わかりやすい解説

コンビーフ
corned beef

塩蔵した牛肉を缶詰にしたもの。古くは粒状 (コーン) の粗塩を用いて塩蔵したのでコーンビーフ corned beef (塩蔵牛肉) と呼ばれる。原料肉としては良質の牛肉を用いることは少く,おもに老廃牛の肩部,頸部胸部などの中等以下の肉を用いるのが普通で,これらの原料肉から大きな腱などを除いて適当な肉片に切断し,ハムの製造の場合と同じように食塩,硝石で血しぼりを行う。次いで,塩漬を行い,水洗後,約 20~30分間煮沸し,放冷後,肉片を缶に詰め,密封後加熱殺菌する。脂肪が比較的少く,結合組織がよくゼラチン化しており,凝固した肉片の大きいのがよい製品とされている。

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